現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 舞台
  4. 演劇
  5. 記事

「いい人」に収まらぬ存在感 「怪談 牡丹燈籠」で初舞台 瑛太さん

2009年7月31日

写真瑛太

 22日の昼前、東京都内のとあるけいこ場。前庭で、長身の青年が空を見上げていた。「すごいですね」。厚い雲越しに日食を垣間見た感動を語る姿は、無邪気な少年のようだ。

 撮影で訪れた別の日は猛暑だった。けいこ着の浴衣で現れた彼は、汗だくのカメラマンに「暑いですよね」と声をかけると、スッと窓をあけてくれた。

 こまやかな思いやり。好奇心に輝く瞳。ほんの数分接しただけで、演じてきた役を裏切らない、いやそれ以上に魅力的な人だ、と実感させられた。

 昨年、ドラマ「ラスト・フレンズ」のタケル役や大河ドラマ「篤姫」の小松帯刀役で大ブレーク。今年は「余命1ケ月の花嫁」など3本の出演映画が立て続けに公開された。

 多忙を極める人気俳優の次なる挑戦は初めての舞台だ。「怪談 牡丹燈籠(ぼたんどうろう)」で、浪人の萩原新三郎を演じる。旗本の娘・お露(柴本幸)との恋の因果が周りの人々の運命も狂わせてゆく。新三郎は、限られた出番でお露との複雑な関係を描きださねばならない難役でもある。

 「役が場面の中で意味を持って存在しているか。感情がきちんと出ているか。そして台本を忠実に表現できているか。どこまでできるかわからないが、新三郎の様々な面を伝えたい」

 1カ月以上にわたる長いけいこも初体験。演出のいのうえひでのり、共演の段田安則や伊藤蘭ら、先輩から学ぶことが多いという。「色々と助けてもらいながら、俳優として原点回帰できる場だと感じています」

 けいこ場の最前列の席を確保し、自分の出番以外は段田らベテランの精妙な演技に目を凝らす。「僕の後ろが伊藤さん。席を替わらなくちゃと思いながら、見とれて動けない」。愛読する村上春樹の新作「1Q84」も上巻の25ページまでで中断し、けいこに集中する日々だ。

 「与えられた作品や役に純粋な興味を持ち、演じることを全力で楽しむ。それができるのがプロの俳優だと思います」

 「草食系男子」の印象が強いが、サッカーで鍛えた身体と凜(りん)とした眼光は「いい人」に収まらない存在感をたたえる。

 「時代劇で剣豪を演じてみたい。日本の俳優ならではの役ですから」。豊かな天分に加え、研究熱心で努力家。これからも新たな瑛太に出会えそうだ。(文・藤谷浩二 写真・門間新弥)

    ◇

 えいた 82年、東京生まれ。ドラマ「ヴォイス」、映画「ディア・ドクター」「ガマの油」など。シス・カンパニー公演「怪談 牡丹燈籠」は8月6〜31日、東京・渋谷のシアターコクーン。

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内