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舞台劇「ムサシ」英米へ 「911」後、報復の連鎖問う

2009年9月10日

写真井上ひさしさん写真蜷川幸雄さん

 武力による報復の連鎖をいかにして断ち切るか。「9・11」以後の世界にそう問いかけた舞台劇「ムサシ」(井上ひさし作、蜷川幸雄演出)が来年、ロンドンとニューヨークで上演されることになった。開幕したばかりの新作劇が、「演劇の都」と呼ばれる両都市の大劇場から相次いで招かれるのは異例のことだ。

 「ムサシ」は、宮本武蔵と佐々木小次郎の「巌流島の決闘」の6年後を描く。敗れて復讐(ふくしゅう)に燃える小次郎と、再戦に応じる武蔵の関係を軸にした喜劇だ。人は「恨みの鎖」を連ねるが、強い意志を持てば、その鎖は切ることができるという思いが込められている。今年3月に、さいたま市の彩の国さいたま芸術劇場で開幕した(朝日新聞社、ホリプロなど主催)。

 内容を知ったロンドンとニューヨークの劇場からそれぞれ、招きたいと申し出があった。ロンドンは来年5月にバービカン劇場で、ニューヨークは7月にリンカーン・センター・フェスティバルの一環として、いずれも日本語で上演される。

 井上さんは「禅や能など、様々な日本文化を採り入れて書いた。海外の観客には、芝居全体を楽しんでもらったうえで、武力で戦うことはその続きを生むだけで決して問題の解決にはならない、という隠したメッセージが心に残れば大成功ですね」と語る。

 蜷川さんは毎年のように海外で公演するが、演目はシェークスピア劇などが多い。今回は、日本人作家の新作であることに意義を感じるという。「政治的なテーマを持つ作品がどう受け止められるか楽しみだし、緊張もする。現代の問題を我々がどう感じているかが問われるわけで、伝える困難もあるだろうが、やりがいがある」と話す。

 英米公演の間に、さいたま市でも再演される予定だ。(山口宏子)

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