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王女にすきなし、舞台に恋 ミュージカル「アイーダ」の主役 濱田めぐみ

2009年10月16日

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 「お前は気高い。それに勇敢だ」と、敵国の将軍に言わしめた女性。エジプトの捕虜となったヌビアの王女アイーダを演じて、10月末にも600回に達する。背筋を伸ばした振る舞いに、気品が漂う。

 なのに、撮影で様々なポーズをお願いすると「ちょっとやだー!」。ああ、なんとはしたないお言葉……。本人は「ギャップあるって、100%言われます」。このしたたかさが、王女たるゆえんか。

 奴隷となったヌビアの民には救いを求められる。一方で燃え広がる、敵将ラダメスとの命がけの恋。アイーダは究極の選択を迫られる。「人はどう生きるべきか。普段の生活ではあり得ない状況で、あり得ない深い感情を舞台上で感じることができた」。女優として大きく成長した舞台、と振り返る。

 約600人の俳優がしのぎを削る劇団四季で、「王道」を歩んでいる。オーディション合格から3カ月後、「美女と野獣」のベルに選ばれた。「ライオンキング」ではナラ。人気の高いディズニーミュージカルすべてでヒロインを演じてきた。

 四季に入るまでは、舞台の出番に恵まれなかった。裏方は大道具、衣装、チケットのもぎり、何でもやった。深夜のファミレスで働いてから、次のアルバイトへ向かった。ストレスがたまって急性胃腸炎にかかったこともある。

 「あの2年がつらかった。もう、あそこには行かない」。3度目の受験で入団を果たした後は、寸暇を惜しんで演技に歌、ダンスを磨いた。団員が帰った後も、休日も、居場所は稽古(けいこ)場だった。「チャンスは120%、期待された以上にして返す」を信条にした。

 30代となり、休みの日は読書やDVD鑑賞に充てるようになった。このごろは、マイケル・ジャクソンにはまっている。「自叙伝を読んだら、曲のことしか書いてない。彼の人生は音楽だけ。じゃないと、あそこまでいかないのかも」

 ところで、アイーダよろしく有名男優との交際が発覚して、劇団に「別れないと舞台を降ろす」と迫られたら? やはり仕事を選ぶという。「舞台の3時間を共有しようと、お客さんが求めてきた信頼は裏切れない」

 すきがないのも道理。彼女は今、舞台との恋の真っ最中だ。

(文・井上秀樹 写真・池田良)

    ◇

 はまだ・めぐみ 北九州市生まれ。音楽座を経て95年、劇団四季に参加。ディズニー作品のほか「ウィキッド」「クレイジー・フォー・ユー」「李香蘭」など。初の東京公演となる「アイーダ」は汐留の電通四季劇場「海」で上演中。

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