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「フェスティバル/トーキョー」再び 荷台に座り流通を「体感」

2009年10月18日

写真拡大相馬千秋=鏡田伸幸氏撮影

 今春、話題を呼んだ国際舞台芸術祭「フェスティバル/トーキョー(F/T)」が23日から、東京都内で再び開かれる。全16演目を選んだ相馬千秋プログラム・ディレクターは「時期が近い開催を利点ととらえ、春秋を連続したプログラムとして考えた」と語る。

 相馬ディレクターが最も注目したのはドキュメンタリー的な要素を生かした演劇だ。市井の素人が出演する作品を並べた春に続き、秋は「劇場の外の現実社会」に観客が飛び込む演目を選んだ。

 ドイツのリミニ・プロトコル「Cargo Tokyo―Yokohama」(シュテファン・ケーギ=スイス=構成、イェルク・カレンバウアー演出)は荷台に客席を設けた改造トラックで東京湾岸の物流基地を巡る。観客が「荷物」の目線で巨大な流通を体感する試み。輸入車両の走行のための諸手続き中で、期間中の上演をめざす。

 ドイツで活動する米国人クリス・コンデック演出の「デッド・キャット・バウンス」(11月23〜27日)は観客のチケット代を原資にロンドン市場で90分間の株取引を行う「投資演劇」。高山明構成・演出「個室都市 東京」(11月15〜22日)は池袋西口公園に仮設する個室ビデオを1時間単位で利用できるインスタレーション的な演劇だ。室内では公園に集う人々のインタビュー映像を見られる。

 レバノンのラビア・ムルエ、リナ・サーネー構成・演出「フォト・ロマンス」(11月26〜29日)は、イタリア映画「特別な一日」の物語を06年の空爆直後のベイルートに置き換え、戦時下での検閲や芸術の現実を突きつける。

 34歳の若さでF/Tのかじ取りを担う相馬ディレクターは「舞台芸術が社会にどうかかわれるかを考えた」と狙いを話す。また、芸術祭の盛んなフランスに留学した経験を生かし、先端的で質の高い作品の紹介にも力を入れた。

 オープニング作品は大阪の維新派の6年ぶりの東京公演「ろじ式」(松本雄吉作・演出、23日〜11月3日)。春にも来日したイタリアのロメオ・カステルッチが代表作「神曲」3部作(12月)を上演するほか、山海塾やBATIKなどダンス公演も多い。

 五輪招致をにらんだ「東京文化発信プロジェクト」の一環として都などから公金が支出されており、落選に伴う将来の見通しが懸念される。「来年度の開催は決まっている」という相馬ディレクターは「日本やアジアを代表するフェスに育てられるように、長期的な運営の枠組みも整えていきたい」と話す。

 12月21日まで。電話03・5961・5202(実行委員会事務局)。(藤谷浩二)

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