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「没落」母娘の実話もとに ミュージカル「グレイ・ガーデンズ」

2009年11月14日

写真拡大原作映画「グレイ・ガーデンズ」から。母のイーディス(左)と娘のイディ 写真拡大(左から)作詞のコリー、台本のライト、音楽のフランケル、演出の宮本

 ゴミ屋敷に暮らす母娘を描くブロードウェー・ミュージカル「グレイ・ガーデンズ」の日本初演が幕を開けた。夢がかなうシンデレラストーリーとは逆の展開で、原作は没落した母娘の愛憎を見つめたドキュメンタリー映画。異色のミュージカルを制作したオリジナル版のスタッフが日本上演に合わせて来日した。

 06年にオフからブロードウェーに上がり、トニー賞3部門を受賞した。ケネディ元大統領の妻ジャクリーンの叔母が、その娘と共に不潔なゴミ屋敷に暮らす荒廃した日常をとらえた同名のドキュメンタリーが75年に製作された。その映画に基づき、ダグ・ライト(台本)、スコット・フランケル(作曲)、マイケル・コリー(作詞)が物語に練り上げた。第1幕は裕福だった41年、第2幕は朽ち果てた73年の家庭が舞台となる。

 アイデアを思いついたのは作曲家のフランケルだった。「ニューヨークの街を歩いていて、ふと思いついた。ドキュメンタリーで描かれていた母親は歌、娘はダンスと、共に人前で表現するのが好き。まだ若くて美しかった過去と、厳しい現実の両方を描けばドラマになる、と」

 ライトとコリーは当初、ミュージカル化は無理だと思った。だが、第1幕の母親と第2幕の娘とを同じ女優が演じることで母娘の相似を表現できる、という案を持ちかけられ、本腰を入れた。「不可能に思えるアイデアこそ、いいアイデア」とコリー。「母娘が若い頃は階級制度が強い時代で自由な表現が許されなかった。やりたいことをやれないというのはドラマがある」

 ライトは「1幕で種を埋めて、休憩中に時間が流れ、2幕でドラマが深まる。2人の女性が時の流れの中で変化を遂げてゆく、複雑な関係性を描きたかった」と語る。

 音楽はジャズが隆盛の30〜40年代風の旋律。フランケルは「第1幕はガーシュインやコール・ポーターなどのテイストを採り入れた。有名な『二人でお茶を』を引用した曲もある。第2幕では曲調を変え、母娘の感情を詰め込んだ音楽にした」と話す。

 日本版を演出した宮本亜門は「この作品が感動的なのは生のヒューマンライフが描かれていること。世間からは変な目でみられる母娘だが、実は痛いほど愛情深い。そこを引き出したい」。

 出演は大竹しのぶ、草笛光子、彩乃かなみ、光枝明彦ら。12月6日まで、東京・日比谷シアタークリエ。電話03・3201・7777(東宝テレザーブ)。12月10日〜13日に大阪、18・19日に名古屋を巡演。(小山内伸)

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