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三谷流、言葉の壁に挑む 米オフブロードウェーでミュージカル

2009年11月19日

 脚本家の三谷幸喜がSMAPの香取慎吾と組んで米国に初めて乗り込んだ野心的なミュージカル「TALK LIKE SINGING」が、ニューヨークのオフブロードウェーで上演中だ。「ミタニ」も「カトリ」も知らない本場の客は、日本語を字幕なしで英語に織り交ぜた異色作をどう受け止めたのか。

■日本語・英語織り交ぜ

 香取が演じるのは、言葉を話そうとすると歌になってしまう不思議な障害を持った青年ターロウ。彼を治そうとする精神科医のダイソン博士(川平慈英)や心理言語学者のニモイ博士(堀内敬子)ら周囲の人々も、彼とかかわるうちに思わず歌い踊ってしまう。

 奇抜な設定ながら、「歌と踊りのある人生の楽しさ」というミュージカルの本質に迫った意欲作だ。

 「字幕で見せる芝居ではなく、全編英語でもないものをやりたかった」と三谷。

 俳優が英語のプラカードを持ったり、可動式の電光掲示板で激しい口論を英訳したりする工夫はあるが、三谷に言わせればあくまで「遊び」。言葉を感情で補う演技や、せりふの中身を体現するような踊りの振り付けで、「言葉の壁」を乗り越えることに挑戦したという。

■本場の客「感心した」

 米国人の客は、日本語を全く知らない人でも、おおむね好意的に受け止めていた。

 毎月1回はミュージカルを見ているというスチュアート・ドルギンスさん(73)は「言葉が分からないところがあっても、細かい配慮に助けられて最後まで顔から笑みが消えなかった。大笑いというより含み笑いだね。米国でも洗練された観客に受けると思う」と話す。

 サル・レンタスさん(41)は「9割は分かった自信がある。ボディーランゲージの使い方に感心した」と話した。

 一方、地元紙ニューヨーク・ポストは電子版で「音楽は良かったが、1曲1曲が短すぎる。内容も2時間向きの素材ではない」と辛口の評を載せた。

 俳優陣にとって本場の反応は新鮮だったようだ。

 香取は「練習とは違う、想定外のところで盛り上がった」と驚いた。

 日英バイリンガルの川平は「英語が母語の観客に確実に中身が伝わるよう、せりふに気を配った。笑ってもらえて『よっしゃ』と。言葉の面で、初めて自分が全面的に生かされたという感じ」。

 三谷は「自分の作品を生の姿でこっちの人に見てもらうあり得ない機会を得た。次は日本語の芝居で笑わせてみたい」と手応えを語った。

 NY公演は22日まで。来年1月23日から、東京の赤坂ACTシアターで凱旋(がいせん)公演を行う。(ニューヨーク=松下佳世)

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