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母娘の愛憎 大竹・草笛が競演 東宝「グレイ・ガーデンズ」

2009年11月24日

写真拡大大竹しのぶ(右)と草笛光子

 実話に基づき、没落した上流階級の母娘の愛憎を描くブロードウェーミュージカル「グレイ・ガーデンズ」(ダグ・ライト台本、マイケル・コリー作詞)の日本初演(東宝製作、常田景子訳)を宮本亜門が演出している。大竹しのぶ、草笛光子の二大女優の対決が見ものだ。大竹は1幕で母、2幕で娘を演じる趣向で、2人の相似性と世代の循環を印象づける。

 舞台を覆う朽ちたゴミ屋敷(美術・方剛)の場から、家族が人生の初々しい季節を過ごした1941年へ時はさかのぼる。娘イディ(彩乃かなみ)の婚約パーティーを控えた豪邸。母イーディス(大竹)の暴露話のせいで婚約は破棄され、転落が暗示される。宮本演出は1幕を老イーディス(草笛)の回想の入れ子にし、隔たった時と状況の落差を際立たせている。

 荒廃した32年後を描く2幕の方が舞台は弾む。奇態なファッションをてらうイディ(大竹)とゴミに埋もれて寝そべるイーディスの確執は解けていない。社会から取り残された2人の痛みのぶつけ合いは、コミカルでありながら切ない。冬枯れの時期をいかに生きるかの問いは、右肩上がりの時代が過ぎた日本でも無縁ではない。

 音楽(スコット・フランケル)は30年代風の、古きよき時代の郷愁を誘う調べ。終盤で、大竹が現実へのうっぷんをぶつけ、広い世界にあこがれを募らせるナンバー「この世界」がいい。

 大竹は前半で傍若無人な母を、後半では落ちぶれつつも自由な精神を発揮する中年を奔放に表現。草笛は、過ぎた夢にしがみつく無残さをとぼけた味を交えて達者に演じるが、歌唱は物足りない。母娘の和解へ至る大詰めのデュエットはきちんとハモって欲しい。

 光枝明彦、吉野圭吾らが共演。12月6日まで東京・日比谷シアタークリエ。大阪、名古屋を巡演。(小山内伸)

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