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「小劇場再興」宣言 劇作家・鈴木聡 来年1月に「世界の秘密と田中」

2009年12月28日

写真鈴木聡

 劇作家の鈴木聡が、自らのホームグラウンドと位置づける小劇場演劇の再興に燃えている。来年1月9日開幕の「世界の秘密と田中」(鈴木脚本・演出)を皮切りに、主宰する劇団ラッパ屋の公演を1〜2年に1回から年2回に増やし、2年間はすべて新作で勝負する。「観客層の広い劇団の個性を生かし、演劇への興味がさほどなかった中高年にもアピールしたい」と意欲的だ。

 ラッパ屋は小劇場第3世代のブームが花開いた1983年、広告会社でクリエーターとして活躍していた鈴木と早稲田大時代の演劇仲間で旗揚げ。「サラリーマン新劇」をうたい、大人が楽しめるコメディーで人気劇団になった。

 だが、長年常打ち小屋にしてきた東京・新宿のシアタートップスが今春閉館。都内の民間小劇場の発信力が衰えてきたことに危機感を抱いた。

 「80〜90年代には三谷幸喜さんの『東京サンシャインボーイズ』やいのうえひでのりさんの『劇団☆新感線』、僕らがトップスなどで好き勝手に面白いことをやっていた。野田秀樹さんを兄貴分に小劇場は外へ開かれていた」

 21世紀以降、そのムードが沈滞してきたと感じている。「若い劇作家はうまい人が多いが、私小説的なナイーブな世界を描く人が圧倒的に多い。観客もわかる人だけが見てくれればいいという傾向が強まった」と指摘する。

 一方、鈴木も含め、多くの小劇場出身の作家や俳優がテレビや映画、商業演劇やプロデュース公演で活躍するようになった。「でも、お客さんは必ずしも商業演劇と小劇場を行き来してはくれない」。演劇の多様性を支えるためには小劇場演劇を再び盛り上げる必要があると考えた。

 「世界の秘密と田中」は都内のアパートに住む39歳のサラリーマン、田中と彼を取り巻く人々の群像劇。ほんわかした長屋的な共同体が魅力だったこれまでのラッパ屋とは少し趣の異なる、ドライな物語だ。「家族や結婚、故郷から自分を切り離して都会で頑張るシングルの男女は、いまの日本を象徴する存在。余韻や情緒を多少封印し、現代の都市のドラマにしたい」

 「中高年がセカンドライフの楽しみを求めている。大人の男性が楽しめる芝居を作れば、小劇場の観客は増える」

 公演は17日まで、東京・新宿の紀伊国屋ホール。4800円。電話0570・00・3337(サンライズプロモーション東京)。19・20日大阪、23・24日に北九州でも上演。(藤谷浩二)

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