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川村毅の新作「大市民」開幕

2010年3月13日

 劇作家の川村毅が作・演出した新作「大市民」が16日、東京・吉祥寺シアターで開幕する。久米大作の音楽に乗せ、33人の俳優が躍動する群集劇。川村は「社会も演劇も閉塞(へいそく)した時代だからこそ、挑発的で軽やかな批評性のある娯楽作をぶつけたい」と話す。

 今年は劇団第三エロチカの旗揚げ30周年に当たり、秋には代表作シリーズ「新宿八犬伝」の新作上演と劇団解散も予定している。「それが原因というわけではないが、20代のころの力強い言葉や熱っぽさが自分の中によみがえってきた」と川村はいう。

 文学座のベテラン俳優・小林勝也と組み、2007年から3年がかりで若手俳優と作ってきた「路上」シリーズが新作への助走となった。「若い俳優の個性にあてて戯曲を書くうちに、彼らの表現を広げるにはもっと大きな世界と言葉が必要だと気づいた」

 「大市民」では、多彩な俳優に過激なせりふや状況を与え、混沌(こんとん)すれすれの場面から劇を立体化していった。どうにも食えない大市民たちが起こす騒動には、21世紀版「三文オペラ」の趣がある。

 「グダグダと理屈を並べる前に、面白い演劇をつくりたい」。その際に価値を問い直したいと思ったのが、1980年代の小劇場演劇が持っていた「でたらめなエネルギー」だ。「90年代以降、日常を淡々と描くミニマム化された演劇が主流となり、80年代的な挑発は空回りしていた。だが、政治や経済の枠組みが崩れた今、再び有効になってきている気がする」

 22日まで。4800円。電話03・3344・3005(ティーファクトリー)。(藤谷浩二)

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