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渡辺美佐子「化粧」演じ納め 井上戯曲、各地で追悼上演

2010年5月3日

 亡くなった井上ひさしさんの戯曲の上演が相次ぐ。どれも以前から企画されていたが、期せずして追悼になってしまった。東京都杉並区の座・高円寺で30日開幕の「化粧 二幕」(木村光一演出)は、渡辺美佐子が28年間演じ続けてきた一人芝居のファイナル公演だ。二重の寂しさを振り払うように渡辺は「これまでで一番にぎやかに」と力を込める。

 「化粧」の舞台は、うらぶれた芝居小屋の楽屋。大衆演劇の女座長が公演の準備をしているところへテレビ局員がやって来て、赤ん坊の時に手放した息子との対面を持ちかける。見えない相手との「対話」を通して、浮かび上がる座長の半生。白塗りの化粧をしながら、笑わせ、泣かせる渡辺の名演で知られ、国内外での上演は600回を超えた。

 渡辺は「どこかで演じ納めを」と考えていたという。この作品を企画し、製作した地人会が2007年に活動を終えたことで、「もう機会はないかな」と感じていたところに、座・高円寺のこけら落とし(09年)での上演を提案された。それに続いて各地を巡演し、再び、座・高円寺へ。「素晴らしい花道」と、これを最後にすることに決めた。

 まだまだ続けられると惜しむ声も多いが、活力に満ちた演技ができる間におしまいにしたいというのが、渡辺の願いだ。

 北海道の公演先で作者の訃報(ふほう)に接した渡辺は「腰が抜けてしまった」と悲しむ。「でも、井上さんは、『一人しか出て来ないのに、うんとにぎやかな芝居を書きたい』とおっしゃっていた。その言葉を追いかけて28年やってきました。最後はこれまで一番にぎやかに演じたいと思っています」(山口宏子)

■主な井上戯曲の上演予定

 「化粧 二幕」=5月9日まで、東京・杉並の座・高円寺(電話03・3223・7500=劇場)

 東京裁判3部作「夢の泪」(栗山民也演出、辻萬長・三田和代・木場勝己ら出演)=5月6〜23日、「夢の痂」(同、角野卓造・石田圭祐・藤谷美紀ら出演)=6月3〜20日、東京・新国立劇場小劇場(電話03・5352・9999=劇場)

 「ムサシ」(蜷川幸雄演出、藤原竜也・勝地涼・鈴木杏ら出演)=5月15日〜6月10日、さいたま市・彩の国さいたま芸術劇場(電話03・3490・4949=ホリプロ)

 「黙阿彌オペラ」(栗山演出、藤原・北村有起哉・吉田鋼太郎ら出演)=7月18日〜8月22日、東京・新宿の紀伊国屋サザンシアター。山形公演も(電話03・3862・5941=こまつ座)

 「父と暮せば」(鵜山仁演出、辻萬長・栗田桃子出演)=7〜8月、各地を巡演(こまつ座)

 「日本人のへそ」(熊倉一雄演出・出演、安原義人・きっかわ佳代ら出演)=9月18日〜10月3日、東京・恵比寿のエコー劇場(電話03・5466・3311=テアトル・エコー)

 群読劇「水の手紙」(栗山演出)=11月、紀伊国屋サザンシアター(こまつ座)

    ◇

 戯曲単行本『組曲虐殺』=5月6日刊行、集英社、1260円

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