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よみがえる「サウンド・オブ・ミュージック」 劇団四季

2010年6月7日

写真拡大井上智恵(右から3人目)=阿部章仁氏撮影

 劇団四季が、リチャード・ロジャース作曲、オスカー・ハマースタイン2世作詞による名作ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」(浅利慶太・日本語版演出)をよみがえらせた。作品の魅力を存分に引き出した好舞台だ。

 第2次世界大戦直前のオーストリア。修道院で修行するマリア(井上智恵、笠松はる、沼尾みゆきのトリプルキャスト)はトラップ大佐(芝清道、鈴木綜馬、深水彰彦)の邸宅で家庭教師を務め、謹厳にしつけられた子供たち7人にぬくもりを取り戻す。対立を経てマリアと大佐は愛し合うようになるが、時局は切迫し、反ナチス派の大佐に召集令状が来る。

 今回の上演は、アンドリュー・ロイドウェバーが制作したロンドン公演に基づく。ナチ占領の政治的背景が丁寧に描かれている。

 歌は屈指の名曲ぞろい。「私のお気に入り」は同じ旋律を短調と長調に編曲をたがえ、心細さと鼓舞の感情をこまやかに表現する。「ドレミの歌」でマリアと子供らは心のハーモニーを奏でる。「ひとりぼっちの羊飼い」は地域性、「エーデルワイス」は祖国の自然をそれぞれ彩り、楽曲が人物の置かれた環境へと観客をいざなう。

 マリアの井上は明朗な女性を誠実に演じる。大佐の芝は父性的な温かみと強さをにじませる。子役らが心を和ます好演。脇役、アンサンブルとも高水準。ただ、せりふ回しにはもっと緩急が欲しい。

 マリアは歌わずにはいられない性格で、子供たちは歌から元気をもらう。大佐も歌によって心を開き、ナチの召集からは家族合唱団で逃亡する。音楽がいかに人を動かし、勇気づけるかという揺るぎない信念が作り手にはある。それが美しい調べとなって、家族愛、祖国愛を歌い上げる時、舞台は感動を生み出す。(小山内伸)

    ◇

 東京・浜松町の四季劇場「秋」でロングラン中。

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