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ブログ盗用の男性アナに処分 ネットの信用性も課題に 

2008年6月10日

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 福島県の地方テレビ局で、ニュース番組のキャスターがインターネットのブログの記事を盗用し、懲戒処分を受けた。盗用したブログは、支持者が多い「アルファブロガー」と呼ばれる人たちが書いていた。アルファブロガーは欧米ではテレビなど既存メディアに迫る影響力を持ち、国内でも存在感が増している。

 5月24日午後、福島中央テレビ(福島県郡山市)に電話があった。同社のホームページ(HP)に掲載された「アナウンス室日記」で、男性アナウンサー(38)が他人のブログを盗用している疑いがあるとの内容だった。

 調べると、男性アナがこの日載せた「日本ブランド」というコラムと同名のコラムが「金融マン・ぐっちーさん」のブログ「ぐっちーさんの金持ちまっしぐら」にあった。「全体の構成や言葉遣いなど、ほぼ同じ」(同社)

 同日夜、記者会見した寺島祐二・常務取締役報道制作局長は盗用を認め、「インターネットの記事も著作物という認識が甘かった。注意喚起を徹底したい」と陳謝した。

 男性アナは97年入社で今春始まった夕方のニュース情報ワイド番組のメーンキャスター。「アナウンス室日記」が設けられた00年11月から書いていた。社内調査に「視聴者に読みごたえのあるものを、ネットを活用して書こうと思った」と説明。友人たちに「日常的な話ばかりではつまらない」と言われ、盗用を始めたことも明かしたという。

 最終的に昨年9月以降、ぐっちーさんを含む八つのブログと一つのHPから計14件の盗用が判明した。4月以降は8件中6件が盗用だった。「参考のつもりで始めたが、だんだんエスカレートして丸写ししてしまった。無理に背伸びした」と話したという。

 男性アナは5月26日付で、懲戒休職2カ月になった。

              ◇

 アルファブロガーは英語圏では「Aリストブロガー」とも呼ばれる。ブログの執筆者でも専門知識が豊富だったり、物事の分析や見方が鋭かったりして多く支持され、影響力が大きい人を指す。

 アメリカでは00年代前半から台頭。02年、米共和党で強い政治力を誇ったトレント・ロット上院院内総務の人種差別を擁護する発言を、大手メディアは当初ほとんど報じなかった。だが有力ブロガーをはじめ多くのブロガーが取り上げ、批判を受けて院内総務の職を追われた。

 日本では04年に、影響力が大きい上位のブロガーをネット上の投票で選ぶ「アルファブロガー・アワード」が始まった。運営に携わる徳力基彦さんは「日本のブログは日記が多いが、生活や仕事に役立つ情報源を応援したい」と話し、アルファブロガーの影響力を「既存メディアに比べて限定的だが、ブログは緩やかにつながっていて、影響が広がっていく」とみる。

 ぐっちーさんは05年2月にブログを始め、07年に同アワードに選ばれた。いまは週刊誌にも記事を執筆する。

 本業は証券会社で企業合併・買収(M&A)を担当しているという。「ライブドアの堀江貴文社長(当時)がスーパースター扱いされていることに一石を投じようと思った」。金融マンとして経済情勢への意見や解説を書いていると、村上ファンド事件やサブプライム問題など大きな経済ニュースが持ち上がるたびに読者が増えたという。

 主に市場が動く平日、週に数回更新する。広告収入は取っていない。「感謝されることも多いので、やりがいは感じる」。1日平均1.5万〜2万件、多いと3万5千件のアクセスがある。

 今回、男性アナの盗用は、ぐっちーさんの熱心なファンが、無断で記事が引用されていないかどうか検索する「ブログパトロール」をしていて、見つけたという。

 ユーザー参加型ニュースサイトを運営するマイネット・ジャパン(東京)の上原仁社長は「ブログ同士で引用するときは『○○さんの意見では』などと書いて配慮することが多いが、明文化された『引用の作法』はない」。情報セキュリティ大学院大学(横浜市)の林紘一郎副学長は「(公的な)規制はそぐわない。失敗例を集めて議論し、(ルールが)合意形成されるのを待つべきだ」と話す。

 一方で、アルファブロガーが書いた内容でも信用性を疑問視する声がある。ぐっちーさんも「捏造(ねつぞう)疑惑」を指摘された。ぐっちーさんは「泥仕合になるのでノーコメント。うそだと思えば見なければいい」と話す。

 ブログの信用性をどう見極めればよいのか。ITジャーナリストの佐々木俊尚さんは「他からどう評価されているか確認するのが近道」と話す。(1)相互リンクや内容へのコメント(感想)の数と内容(2)他人とお気に入りを共有する「ソーシャルブックマーク」の数と評価を確認し、似た文章がないかキーワードで検索すべきだという。(見市紀世子、常松鉄雄)

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