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ドラマ「ラスト・フレンズ」 旬の役者の葛藤重なる

2008年6月19日

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 ドラマ「ラスト・フレンズ」(フジ系)が尻上がりに調子を上げている。4月の初回に13.9%だった視聴率(関東地区、ビデオリサーチ調べ)は12日の放送で20.7%と大台を超え、同じ週放送の木村拓哉主演「CHANGE」の19.5%を上回った。

 恋人からのドメスティックバイオレンスや性同一性障害、姉弟の確執など、心に傷を負った若者たちがシェアハウスでともに暮らし、時にすれ違いながら互いのぬくもりを確かめ合ったつかの間の季節を描く。脚本は浅野妙子。

 最近は旬の役者をそろえても青春群像劇がふるわない中で、物語を先へ先へと引っ張っていったのは岸本瑠可役の上野樹里、及川宗佑役の錦戸亮の2人だろう。

 長澤まさみや瑛太にひかれて見始めた人も多いはず。宗佑の暴力におびえながらも別れられない藍田美知留役の長澤は、ぐずぐずした感じが絶妙。姉との間に性的トラウマがある水島タケル役の瑛太が見せる抑制と献身は、NHK大河ドラマ「篤姫」での肝付尚五郎(小松帯刀)役に通じる。好演する2人だが、そのたたずまいに驚きはない。

 しかし、上野には目を見張る。「のだめカンタービレ」(フジ系)の“のだめ”が余りにもはまり役で、以後、ドラマでもCMでも、上野にはべったりとのだめが張り付いていた。その呪縛を瑠可が、解き放った。目の色、声の質まで、まるで別人だ。

 10年ほど前、自らの性への違和感に悩み、男性への性別適合手術を受けた人を取材した。「彼」は苦しかった日々をこう表現した。「まったく型の違う器に、無理やり押し込められているような感じ」

 カウンセリングで「苦しいんです」と訴える瑠可はまさにその言葉を体現していた。強くなりたいとモトクロスに打ち込み、美知留に思いを寄せる瑠可の、自分との格闘に、のだめという器を壊そうとする上野の葛藤(かっとう)が重なる。

 一方、病的な嫉妬(しっと)と猜疑(さいぎ)心から美知留に激しい暴力を振るう宗佑には、瑠可とは別の種類の、だが同じぐらい強い、自分が抱える闇へのいらだちが立ちのぼっていた。

 きっとまた殴られるのに、どうして宗佑のところに行くの! 美知留にいらだつ私たちは、日々、自分にもいらだつ。だから、顔をゆがませる瑠可から、沈んだ目をした宗佑から、目が離せない。19日、最終回。(菅野俊秀)

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