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テレビCM、成功のカギはストーリー性

2009年6月13日

 テレビCM成功の秘密は長尺のストーリー、ユーモア、そしてBGM。不況のあおりで企業の広告宣伝費が限られる中、消費者の心をつかむCMは、こんな要素を備えていることがCM総合研究所の調査で見えてきた。

 同研究所は毎月3千人を対象にCMの好感度などを調査している。08年度に東京キー局5局で放送された2019社の1万7765作品のうち、好感度や宣伝効果の高さで総合1位を獲得したのは、「白戸(ホワイト)家」シリーズで話題を呼んだソフトバンクモバイル。白い犬のお父さんが人気となり、07年6月の放送開始から2年で48本が放送された。

 2位は缶コーヒー・ボス「宇宙人ジョーンズ」シリーズのサントリー、そしてお笑い芸人コンビのオードリーを起用した「ニンテンドーDSi」の任天堂が続いた。

 上位のCMには共通点が見られる。まず長尺でストーリー性を追求する手法。テレビCMの84%が15秒という中で、30秒、60秒でゆったりと物語や世界観を展開するものが好まれる。

 ストーリーのカギとなるのはユーモア。「白戸家」や「宇宙人」はその典型だ。物語に連続性もあり、新作が出る度に話題を集めている。

 さらに音楽効果も欠かせない。「ながら視聴」が多いCMだけに、視聴者を振り向かせる印象的なBGMは重要だ。

 前年16位から8位と大きく順位を上げたのが江崎グリコの「OTONA GLICO」キャンペーンCM。「25年後の磯野家」をテーマに昨年9月から放送を始めた。アニメ「サザエさん」をモチーフに、人気俳優による実写で登場人物の「大人」ぶりを描く。おなじみの主題歌に乗せ、30秒版は4本が公開された。少しずつそれぞれのその後が明かされ、毎回クスリ、ホロリとさせられる。

 同研究所の関根建男代表は「CM回数や制作費をしぼっても、ターゲットにミートしていて内容が優れていれば、企業メッセージや商品の特徴は伝えられる」と話す。

 昨年のテレビ広告費は約1兆9千億円と、4年連続減少している。同社の調査では、1人あたり平均して1日に200回、月に5990回のCMに出会うが、空で思い出せるCM数は月に3作程度。昨年度の全CMのうち、何らかの反応が得られたのは44%に過ぎなかった。

 CM好感度の動きは現実とも連動している。産業分野別にみると、通信や食品、娯楽・興行がアップ、金融、住宅設備、家電などがダウン。CM投入回数を見ても、かつては花形だった家電や自動車などの落ち込みに代わり、DVDネットレンタル、モバイルゲーム、通信カラオケなどが増加。中でもパチンコは04年度の2758回から08年度は17822回と激増した。

 世の節約志向を受け、今年に入ってからは「お、ねだん以上」のニトリや、カラージーンズのユニクロなどが業績、CMの好感度とも伸ばしている。

 また、環境意識の高まりやエコカー減税などの政策もあり、「プリウス」などのハイブリッドカーやエコハウスも反応がよい。

 エコノミーとエコロジー。09年度は「二つのエコ」がキーワードになりそうだ。(柏木友紀)

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