現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. 映画・音楽・芸能
  4. テレビ・ラジオ
  5. 記事

「印籠」を考案 脚本家の遺志継ぐ 水戸黄門新シリーズ

2009年7月7日

写真水戸黄門第40部の制作発表会見に出席した出演者の(左から)林家三平さん、由美かおるさん、原田龍二さん、里見浩太朗さん、合田雅吏さん、内藤剛志さん=6日午後、東京都千代田区、関田航撮影写真宮川一郎さん=萩原輝明氏撮影

 TBS系で27日から「水戸黄門」の第40部が放送される。決め手の印籠(いんろう)や魅力的な脇役を創造し、40年に及ぶ長寿番組を支えてきたベテラン脚本家は昨年暮れに急逝したが、残された構想が節目のシリーズに生かされることになった。

 亡くなったのは宮川一郎さん。83歳だった。69年8月に放送された第1部第1話の脚本を担当。第14話で「前(さき)の副将軍」水戸光圀の身元を示す印籠を登場させ、第23話で印籠を見せつけて悪人を恐れ入らせる場面に発展させた。いわば「偉大なるマンネリ」の生みの親だ。

 人気の脇役「風車の弥七」「うっかり八兵衛」を登場させたのも宮川さんだ。その後も中心的な脚本家としてシリーズにかかわってきた。

 仕事ぶりは「職人」として知られた。東大文学部を卒業後、映画会社「新東宝」に入社。宣伝担当などを経て脚本を書くようになり、その後フリーに。「大岡越前」「銭形平次」などの時代劇や「東芝日曜劇場」の現代劇など数多くのテレビドラマや映画、舞台の脚本を手がけた。

 昨年12月、「胸焼けが治らない」と訴えて急きょ入院。原稿用紙と万年筆を病室に持ち込み、「ここで仕事をする」と家族に話したが、翌日に急性心不全で息を引き取った。

 死後、書きかけの「黄門」の原稿が見つかった。締め切りが間近だった第39部の最終話の脚本が原稿用紙に数枚分。友人の脚本家、桜井康裕さん(80)が会議で「弔い合戦だ」と宣言。宮川さんの原稿をもとに書きあげた。

 第40部の構想も、スタッフとの打ち合わせを元に書き残していた。青森・津軽へ向かう水戸黄門の一行に、「奥の細道」で知られる俳人の松尾芭蕉がからむ趣向だ。新作はこの構想を生かして制作が進んでいるという。

 今月6日にあった制作発表の記者会見で、光圀役の里見浩太朗さんは宮川さんのことを「喜びや苦難、悲しみに、人間はどういう言葉を発し、どういう表情をするのかをいつも克明に書いてくださった」と振り返った。由美かおるさんも「優しいお父さんのような感じの先生だった。第40部を迎えた今、ここにいてくださったらと思っています」と死を惜しんだ。(赤田康和)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内