2009年7月28日
敗戦から64年目の夏を迎え、テレビ各局が8月、戦争と平和を考える番組を相次いで放送する。戦争の惨禍を改めて映像で訴える取り組みが、今年も続く。
NHKは、ドラマ「気骨の判決」(総合、16日午後9時)が注目される。戦時中、「翼賛選挙は無効」とする判決を下した大審院判事の生き様を描く。主人公の判事を小林薫が演じる。
ドキュメンタリーは「渡辺謙 アメリカを行く 星条旗の下に生きたヒバクシャたち」(総合、7日午後10時)が目を引く。日本に帰国中に被爆し、その後米国に戻った日系移民を渡辺が訪ねてインタビューした。
渡辺は「戦争や原爆がどんどん遠のいている現代、米国で生きた被爆者の体験や思いを感じていただければ」と話す。
「証言記録 市民たちの戦争」(BSハイビジョン、9日午後6時45分、10〜13日午後7時)は銃後の人々の証言を紹介。「忘れないで、わたしたちの戦争 中居正広が聞く戦場の声」(総合、14日午後7時半)では、五木寛之、金子兜太、奈良岡朋子が戦争体験を語る。
民放は、広告収入の落ち込みで特集番組の制作を見送った局もある。その中でTBSは、ドラマとドキュメンタリーで構成する「最後の赤紙配達人 悲劇の“召集令状”64年目の真実」(10日午後9時)をつくった。
ドラマ部分では、召集令状や戦死公報の配達人だった滋賀県の西邑仁平さんを吉岡秀隆が演じる。ドキュメンタリーではサイパンやテニアンなどの戦地を紹介する。島田喜広プロデューサーは「市井の人たちに戦争はどのような影響を与えたのかを、丁寧に伝えたい」と語る。
テレビ朝日は「報道発 ドキュメンタリ宣言」(10日午後7時)で「僕の父はB級戦犯」を放送する。「戦争絶対反対」を信念とする、うじきつよしが、職業軍人でありB級戦犯になった父と、戦地を訪ね歩く。
CS放送の日本映画専門チャンネルは映画やドラマなど計13作品を放送する。
「蟻(あり)の兵隊」(06年作品、4日午後10時など)は、上官の命令で戦後も中国にとどまった元兵士たちのドキュメンタリー映画。「ヒバクシャ HIBAKUSHA 世界の終わりに」(04年作品、6日午後10時など)は、劣化ウラン弾の被害を受けたイラク人の少女や、プルトニウム工場の風下で農業を営む男性らに鎌仲ひとみ監督が取材したドキュメンタリーだ。(大室一也)