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NHK、番組ネット配信低迷 収入「想定の半分以下」

2009年11月28日

自由表:  拡大  

 NHKのテレビ番組をインターネットで有料配信する「NHKオンデマンド」が始まって12月で1年。予想したほどには利用は増えず、今年度の料金収入は当初見込んだ23億円の半分にも届かない見通しだ。無料が当たり前のネット上で有料サービスを展開する難しさが、改めて浮き彫りになった。

 NHKオンデマンドは、放送済みの番組をネットで見られるようにしたサービスだ。放送翌日から約10日間配信する「見逃し番組」と、過去の名作を配信する「特選ライブラリー」の2種類がある。

 料金は1番組あたり105〜315円。定額で多数の番組を見るコースもある。一部の無料配信も含めると約3千本の番組が用意されている。

 昨年12月1日に始まり、今年3月末まで4カ月の収入は1億円だった。今年度は当初予算で23億円の収入を見込む。だが、オンデマンド事業の責任者の日向英実・NHK専務理事は、朝日新聞の取材に「今年度の収入は予算で見込んだ額の半分もいかない」との見通しを明らかにした。

 昨年度は13億円の赤字決算で、今年度は予算で見込んだ16億円の赤字が拡大するのは避けられそうにない。NHKは5年目の2012年度末までに累積赤字を解消する計画を立てていたが、「このままでは実現は無理」と日向専務理事は言う。

 誤算は、視聴回数が約124万回(10月末現在)と低迷していることに尽きる。

 11月半ばまでの集計では、特選ライブラリーで最も多く見られたのは土曜ドラマ「ハゲタカ」の第1回で1万1600回。そのすべてが最も割高な料金で見られたと仮定しても収入は約360万円だ。

 配信期間が限られる見逃し番組では、視聴回数が1千回を超えたのは17本だけ。最も多かった4527回のNHKスペシャル「魔性の難問 リーマン予想」も、やはり最も割高な料金で推計しても収入は150万円に届かない。

 テレビ番組の有料ネット配信は民放各局も力を入れ始めている。国内最大規模を誇るNHKオンデマンドの苦戦は、民放にとっても暗雲だ。

 日向専務理事は「ネット上は無料のコンテンツが圧倒的に多いが、有料でも質の高い作品を見たいというニーズは必ず出てくる」と話す。有料配信ならではの質の高さをアピールするなど、対策に取り組む考えだ。

 一方、元毎日放送プロデューサーの影山貴彦・同志社女子大情報メディア学科教授は「視聴者のテレビに対する熱自体が下がっている。わざわざ金を払って番組を見たい人は少ないのでは」と言う。

 オンデマンドは通信事業であり、放送法の規定によって受信料収入は使えない。このためNHKは貸し付けという名目で事業費を出している。このまま赤字が解消できなければ、テレビ、ラジオのための受信料をネットで食いつぶすことになり、経営問題として問われる可能性もある。(赤田康和)

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