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「雷が地面から響く」 轟音、水が家をのみ込む 長野

2006年07月19日12時45分

 「雷が地面から響いてくるようだった」。轟音(ごうおん)とともに、土石流や鉄砲水が住宅をのみ込んだ。18日夜から続いた記録的な大雨。長野県岡谷市で住宅3棟が流されるなど全国各地で土砂崩れによる被害が続き、福井市や京都府などでも行方不明者が相次いだ。長野県では天竜川の堤防が決壊。高速道路や鉄道も不通になるなど交通網も寸断された。雨が降り続く中、被害現場では懸命の救助作業が続いた。

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鉄砲水で民家が流された現場=19日午前11時すぎ、長野県岡谷市川岸東2丁目で

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 住宅や自動車が数十メートルも坂の下に流され、神社の社殿や鳥居などが全壊した。土石流が襲った岡谷市湊3丁目の住宅地。雨がやんだ19日正午近くになっても、泥水が勢いよく流れていた。

 近くの男性は「ものすごい鉄砲水だった。車や住宅が流されたのを見て、ぞっとした」。別の女性は「80年近く住んでいるが、こんな惨事は初めて。行方不明の人はどうなっているのか」と、安否不明の住民たちを気遣った。現場では、「再び鉄砲水が来るかもしれない。危ないから近寄らないように」「すごい流れだ。気を付けろ」などと声が飛び交った。

 「ものすごい雷の音が、地面から響いてくるようだった」。鉄砲水で流された同市川岸東2丁目の林孝幸さん方から100メートルほどの場所に住む女性(53)は、19日午前2時ごろ、自宅の外で「ゴロゴロ」という音がするのを聞いた。午前4時ごろには、さらに激しい音に変わったという。しばらくして家の外を見ると、大量の土砂が庭を覆っていた。

 林さん方は天竜川の左岸にあり、裏山が迫る狭い場所に、JR中央線や中央自動車道が通る。土砂は、約100メートル北側を走る線路にも達し、木の根や耕運機などが線路をふさいでいるという。

 近くの公民館に避難した男性(69)は「道も危険で通れないし、昨晩は一睡もできていない」と疲れ切った様子だった。

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 天竜川の決壊は、午前9時半過ぎ、川が大きく蛇行する長野県箕輪町内で起きた。

 決壊現場の西南約200メートルで会社を経営する田中育夫さん(57)によると、コンクリートの堤防の上の盛り土が30〜40メートルにわたって崩れ落ちた。パワーショベルで土嚢(どのう)を積み上げる作業が続けられているが、崩壊はさらに広がっているという。「堤防が崩れてふだんは見えない川の向こうの畑が見える」と話した。

 高台に住む男性(31)は「堤防上の道路が10メートルくらいにわたって水につかり、ブロックで水を食い止めている。ゴーゴーと水の音がして怖い」と話した。

 一帯で不安な夜を明かした住民たちは、朝から避難を強いられた。

 箕輪町の松島コミュニティーセンターには、午前6時半から、避難の町民が集まり始めた。町が急きょ、おにぎりやパンなどを用意した。

 決壊から30分ほど後の午前10時すぎには220人以上が集結。施設内に入りきれなくなった。地元区長、原幸喜さん(65)は「高齢の人も多く、いつ戻れるのか、みな不安だ」と話した。正午前には、日本赤十字の分団が昼食の炊き出しを始めた。

 同町民体育館には、午前10時50分すぎから、コミュニティーセンターに入れなくなった町民が集まり始めた。職員は「これから毛布などを運び込まねば」と話した。

 現場の南側約300メートルにあるスーパー西友箕輪店。決壊の情報で営業を中止し、従業員約30人の大半を避難させた。店長(57)は「今朝から急に水かさが増えた。堤防の一部から水があふれ出しているが、濁流が堤防を越えてくるまでには至っていない」と語った。

 箕輪町の新聞販売所従業員唐樹美津子さんによると、町内の幹線道路は避難しようとする人の車で大渋滞で、天竜川より山側は土砂崩れですでに立ち入れない地区があったという。

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