一瞬…神社消えた、中央道なければ「全滅」 長野・岡谷
2006年07月20日00時00分
生き物のような泥水が一気に住宅を襲い、周辺が一瞬にして土砂に覆われる。19日、記録的な大雨の影響で土石流や鉄砲水が発生した長野県岡谷市では5人が遺体で見つかった。自然の猛威は見慣れた生活の場の姿を一変させた。
 土石流が流れ込み壊れた民家=19日午後2時58分、長野県岡谷市湊で、本社ヘリから
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長野県岡谷市の湊地区。諏訪湖沿いを走る県道まで山の斜面からあふれ出した土砂や材木で埋まった。
「高さ3メートルぐらいの土砂が坂の上から押し寄せてきて、もう助からないと思った」
土石流発生現場近くに住む花岡宏行さん(60)は、そう振り返った。
19日午前3時半ごろ、自宅前の坂道の側溝から、コポコポと水があふれる音が聞こえた。坂の上へ様子を見にいくと、側溝の水があちこちで高さ2メートルほどまで噴き上がった。多数の石が道を転がり落ちていた。
「ゴゴゴゴー」
高さ3メートル以上の水や土砂、岩が一気に押し寄せ、坂を下ってきた。花岡さんは坂の下に向かって走ろうとしたが、逃げ切れないと思い、すぐに道路わきの畑に駆け込んだ。目の前を土砂が洪水のように流れていった。
振り返ると、近くにあったはずの花岡孝明さん(75)の家が流されていた。自宅に止めてあった乗用車も約10メートル流され、折れた大木にひっかかっていた。「一瞬の出来事だった」
県道近くに住む花岡あいさん(84)は「ドーン」というものすごい音で目が覚めると、土砂が部屋に押し寄せてきて、ベッドは壁際まで押し出された。土砂はベッドぎりぎりの高さで止まったが、タンスもふすまも窓も押しつぶされていた。
「怖くて動けなかった」。駆けつけた息子の克郎さん(54)が助けを呼び、近くの人がおぶって避難した。
克郎さん自身も山で土石流に危うく巻き込まれるところだったという。
「土石流がきたぞ」
山の木々が揺れて霧がかかったように見えたかと思うと、「ゴー」という音を聞いた。山側の高台にあわてて上るとすぐ後ろを土石流が通り過ぎた。道の下にある神社は跡形もなくなっていたという。土石流は中央道にぶつかり、二手に分かれた。
「中央道がなかったら地区は全滅だった」
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