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偽装請負の内部告発者を隔離 松下子会社

2006年08月06日06時10分

 松下電器産業の子会社「松下プラズマディスプレイ」の茨木工場(大阪府茨木市)で働いていた吉岡力(つとむ)さん(32)が「工場で違法な偽装請負が行われている」と大阪労働局に内部告発し、その後、同社から差別的扱いを受けたなどとして損害賠償を求めて同社を大阪地裁に提訴していることがわかった。吉岡さんは提訴後に職場を追われ、失業中のまま、会社と争っている。

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吉岡さんが配置された作業場

 吉岡さんは04年1月、請負会社の社員として、茨木工場の製造1部製造3課パネル係で働き始めた。松下社員の指揮下でパネルを組み立てる生産ラインを受け持った。昨年3月、時給の安い別の請負会社に転籍するよう松下社員に迫られたことをきっかけに、労働問題の専門家に相談。初めて自分の雇用形態の違法性を知り、地域の労働組合に入った。

 5月26日、大阪労働局に申告書を提出。「松下は職業安定法に違反し、みずからの指揮命令の下に、他社から供給される労働者を働かせている」と内部告発した。労働局は6月1日に工場に立ち入り調査。7月4日、松下に「労働者派遣法違反の事実がある」として是正を指導した。

 その10日後、松下の人事担当者から「直接雇用したい」と言われた。

 吉岡さんは素直に感心した。「これまでさんざん嫌がらせをしてきたのに、よう素直に要求をのんだな」。しかし、話をじっくり聞くと、裏があった。「1月末まで」と期間を区切られ、仕事の内容もそれまでと異なっていた。

 8月22日、松下に入社した。「期間工」の身分を持つのは社内にただ一人。与えられた仕事は不良パネルの再生。パネルの端子の間にある異物を竹串で取り除く細かな作業だった。同じ作業をしている人はほかにいなかった。「今までこのような不要パネルは廃棄処分していた」と係長に言われた。

 作業場は、黒いシートでテントのように囲われていた。苦情を申し立てると、透明シートに替えられた。が、外の光が入らないように非常口の窓が黒色シートでふさがれた。さらに、青いついたてが置かれ、外部と仕切られた。そこにたった1人。

 請負会社に雇われていた当時の職場では朝会(ちょうかい)が開かれ、正社員も請負社員も一緒になって松下の社訓を唱和した。「産業人たるの本分に徹し、社会生活の改善と向上を図り……」。松下の社員になってからは逆にそれがなくなった。

 11月11日、損害賠償などを求めて提訴。「原告を他の従業員から1人だけ隔離し、朝会に参加させない、身分証を発行しないなどの嫌がらせが行われている」

 12月28日、会社から「1月末日をもって期間満了により雇用契約が終了する」と告げられた。

 会社側は法廷で、「個人の疎外感の緩和よりも業務上の要請が優先される」「シートは帯電防止用。ついたては作業者がけがをしないよう設置した。隔離する意図はない」と反論している。

 労働者派遣法には内部告発者保護の定めがある。同法違反の事実を厚生労働省に申告した派遣労働者への不利益扱いを禁じており、違反者には懲役刑の罰則があるが、会社側は「原告を何ら不利益に扱っておらず、かえって原告の要望に応じて直接雇用をしている」と法廷で反論している。

 1月に職場を追われたことについて吉岡さんは「不当解雇だ」と主張し、訴訟の中で復職も求めている。

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