福島知事、辞職を表明 実弟逮捕で引責
2006年09月28日00時39分
福島県の佐藤栄佐久知事(67)は27日、県発注工事の談合事件で実弟の縫製会社社長、佐藤祐二容疑者(63)が逮捕されたことを受け、辞職を表明した。県庁で記者会見した佐藤知事は「県政に対する県民の信頼を一日も早く取り戻すため、18年間の職務に、自らの手で終止符を打つ決意をした」と語った。県議会では辞職を求める声が高まっており、不信任案を提出する動きも出ていた。佐藤知事は現在5期目。現職では、最も当選回数が多い知事の一人だった。
 記者会見で辞意を表明する佐藤栄佐久・福島県知事=27日午後4時すぎ、福島県庁で
|
 記者会見で辞意を表明後、車に乗り込んだ佐藤栄佐久・福島県知事=27日午後4時20分、福島県庁で
|
佐藤知事は27日夕、自らの談合事件への関与を記者団に問われ、「潔白だ」と語った。東京地検特捜部は、県発注の公共工事で談合の仕切り役だった実弟が建設会社などから不正な資金提供を受けていなかったかどうか捜査を続ける。また、受注調整にからむ実弟の動きを佐藤知事がどこまで知っていたか、県当局が談合に関与していなかったかについても解明を目指す方針。
辞職会見で佐藤知事は、原子力政策や医師不足解消、まちづくりなど自らの功績に触れ、「私が追い求めてきた地方自治の理想が、まがりなりにも実現しつつある時期に、談合疑惑が起きた」と述べた。さらに、「職員には『李下(りか)に冠を正さず』『瓜田(かでん)に履(くつ)を納(い)れず』と申し上げてきたので、この際、道義的責任をとる」と辞任の理由を説明した。
知事は27日付で県議会議長に辞職願を提出しており、28日の本会議で辞職が認められれば、議長が5日以内に県選挙管理委員会に通知し、50日以内に出直し知事選が行われる。その間は川手晃副知事が、職務代理を務める。
佐藤知事はこれまで、実弟が公共工事の「仕切り役」になっているとの疑惑に対して、「弟を信じている」と語り、実弟の県政への関与を一貫して否定していた。
26日に開会した県議会の所信表明でも「(談合事件の)再発防止と信頼回復に徹底して取り組む」と述べ、進退については一切触れなかった。
県議会最大会派の自民党などは、知事が辞意を明らかにしなければ、不信任決議案を提出する構えを見せていた。
この記事の関連情報
|
|