現在位置 : asahi.com > ニュース特集 > 福島県汚職 > 記事 ここから本文エリア

福島前知事「前田建設は営業熱心」 弟の受注調整承知か

2006年10月26日08時06分

 福島県発注の木戸ダム建設工事をめぐり収賄容疑で逮捕された同県前知事・佐藤栄佐久容疑者(67)が00年夏の入札前、同ダムの受注について「前田(建設工業)は熱心に営業活動をしている」と県幹部に話していたことが、関係者の話でわかった。その前後に、実弟の佐藤祐二容疑者(63)が大手ゼネコン支店幹部らと受注調整し、前田建設工業に木戸ダム工事を落札させたことも判明。特捜部は佐藤前知事が受注調整を承知したうえで発言していた疑いがあるとみて調べている。

 関係者によると、佐藤前知事が前田建設工業に言及したのは00年の前半。同ダム工事の入札は同年8月に行われている。前知事は、当時の県土木部幹部と話した際、前田建設工業がダム受注に向けて「熱心に営業活動をしている」などと話題にしたという。前田建設工業は今回、前知事に対する贈賄側企業の一つとされた。

 この数年前から、前田建設工業は受注工作を展開。同社の元副会長(74)が99年秋ごろ、仙台市内で、元県土木部長(70)や鹿島東北支店元幹部と会合を持ち、県発注の木戸ダム建設の受注希望を伝え、協力を依頼した。この席には、下請けに入る予定だった「水谷建設」(三重県桑名市)元会長の水谷功被告も同席していたという。

 前田建設工業はこれとは別に、同県の公共工事の受注調整で最も影響力ある人物として、前知事の実弟である佐藤・郡山三東スーツ前社長にも接触し、同ダム受注への協力を頼んだという。

 佐藤前社長は、元県土木部長と連絡を取り合ったうえ、東北地方のゼネコン談合組織の仕切り役だった鹿島東北支店元幹部に、前田建設工業に落札させるよう要請。鹿島側は、これを実質的に同県の「天の声」と受け止めて、前田建設工業などの共同企業体(JV)を落札予定会社に決めた。

 佐藤前社長は、当時の県土木部幹部にこの決定を連絡し、落札できるよう配慮を頼んだという。

 前田建設工業のJVは00年8月の入札で、木戸ダム工事を約206億円で落札した。

 前知事は93年ごろまで、工事の受注業者を指名する「天の声」をゼネコンの談合組織に出していたとされ、受注調整の実態に通じていた疑いが持たれている。

PR情報


この記事の関連情報


ここから広告です
広告終わり

マイタウン(地域情報)

∧このページのトップに戻る
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。 Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.