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福島知事選告示 建設業界、思い複雑 地元発注減に不安

2006年10月26日22時04分

 前知事が収賄容疑で直前に逮捕されるという事態のなか、福島県の出直し知事選が、26日告示された。5人の候補は「県政刷新」を訴えるが、前知事の選挙を全面的に支えてきた建設業者の思いは複雑だ。談合事件の反省から、県発注工事で地元企業を優遇する「地産地消」政策の見直しが進み、「このままでは、今以上につぶれる会社が出てくる」との不安の声も聞こえる。

 「陣営を支援しようと動いている業者もいるらしいが、おれたちは今回は動いちゃいけない。今どちらかの支援に回ったら、支援された候補が落選してしまう」

 この日午前、福島市内で各候補の出陣式を「観察した」という、ある工事業者が話した。

 県内の建設業界は前回04年の知事選まで、23日に収賄容疑で逮捕された前知事の佐藤栄佐久容疑者(67)を支援し、大勝の原動力となった。関係者によると、知事選告示の約1カ月前、県建設業協会(福島市)が「裏の選対本部」を組織。協会から県内17支部へ指示が流れ、支部から各業者に協力依頼するシステムになっていたという。業者たちは、選挙ポスター張りから選挙カーの運転まで、「実動部隊」となって動いた。

 だが、今回の談合事件で県内業者が次々と東京地検特捜部から事情聴取を受け、選挙活動で前面に出られない。福島市内の建設業者の一人は「捜査当局にこれだけいじめられたら、表だっては動けない」という。同協会も「自主投票」で臨む方針だ。

 各候補が県政刷新を掲げる中、業者らは「誰が勝っても風当たりは厳しくなる」と不安を感じている。

 同市内の別の建設業者は「新しい知事に求めるのも、やはり(公共工事の)『地産地消』」と語気を強める。

 県発注工事の「地産地消」は佐藤前知事が推し進め、「談合の温床」と批判を浴びた。県は見直しを進めているが、業者の間では「やめたら地元はもたない」という声が根強い。

 県南部のある業者はいう。「業界の現状をよく知り、腹を割って話してくれる人、業者の声にも聞く耳を持ってくれる人に投票する」

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