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保釈の前福島知事、拘置所で「吉田松陰の人生」読み返す

2006年11月14日03時10分

 東京拘置所から13日に保釈された福島県前知事の佐藤栄佐久容疑者(67)は22日間の勾留(こうりゅう)中、1日5時間程度の取り調べ時間以外、弁護人が差し入れた本を読んで過ごしたという。

 関係者によると、前知事が特に差し入れを希望したのが、幕末の思想家、吉田松陰の人生を描いた本だった。前知事の蔵書の一つで、若いころに読んだという。前知事は、志半ばで安政の大獄により29歳で亡くなった松陰の人生を、繰り返し読み返していた。

 ほぼ連日あった弁護人との接見では、日々の暮らしや調べの状況をしっかりした口調で説明。食事も十分にとり、体調は良好だった。

 接見で、県政や出直し知事選の話題に触れたことは一切なく、家族のことを心配して、弁護人に伝言を頼むこともあった。また同じ拘置所で勾留が続く実弟の佐藤祐二容疑者(63)を気遣う言葉も口にした。

 逮捕直後の取り調べでは「知らん」との言葉を繰り返し、強気の姿勢を崩さなかったが、11日目の今月2日には、「断腸の思い。責任を取ります」と弁護人に話した。収賄容疑を調べで認め始め、弁護人には「事件のために県政を混乱させてしまった」と反省の弁を述べたという。

 保釈された前知事は13日午後7時前、無言のまま、迎えの車に乗り込んだ。後部座席で一瞬笑みを浮かべたが、その後は硬い表情に戻った。

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