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TVのチャンネル「すべて国王映像に」 タイの邦人語る

2006年09月20日16時59分

 「静かなクーデター」だった。19日夜、タイで起きた軍による政変。全土に戒厳令が敷かれたが、現地に大きな混乱は起きていない。現地に工場などを置く日本企業も休業と操業継続に対応が分かれた。旅行会社もツアーを中止したのは一部にとどまっている。

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バンコクから到着した乗客たち=20日午前7時43分、関西空港で

 20日午前2時33分発(日本時間)のタイ航空機で、バンコクから関西空港に到着した、シンガポール在住の会社員、安藤宗徳さん(44)は空港へ向かう車中、同僚からのメールでクーデターの発生を知った。「タイ政府から受注している仕事もある。政変で今後どうなるかが心配だ」

 バンコクにあるタマサート大学で交換留学生として勉強している中山敦弘さん(21)は19日夜、バンコク郊外の学生寮にいた。午後10時ごろ、寮のタイ人学生らが突然「クーデターが起きたらしい」と騒ぎ出した。テレビのチャンネルはすべて番組が中断されて国王の映像に切り替わり、テロップで「軍が政府庁舎を掌握した」と流れた。20日朝、学校から休校の電話連絡が入った。テレビでは午前9時すぎ、クーデターを起こした軍幹部が声明を読み上げる姿が放映された後、通常の番組に戻った。政府庁舎を取り囲む戦車を映し出したニュース報道もあるという。

 約2300人の日本人生徒が通うバンコク日本人学校は、20日の休校を決めた。日本大使館からは在留邦人向けに「軍の動きが活発化しており、不測の事態も予想される」とメールが流れ、安全な場所で待機するよう求めている。

 現地の日系企業の対応は分かれた。

 工場などグループ会社21社を抱える松下電器産業は20日、タイの全社を休業にし、日本を含む各国からタイへの出張を禁止した。

 帝人は21日までタイへの出張を禁じたが、工場は通常通り操業。東洋紡の綿不織布の工場も3交代制24時間のフル操業を続けている。バンコクから南西へ車で約1時間のところに工場をもつバンドー化学(神戸市)は「工場は平常どおり稼働すると聞いている。滞在中の日本人社員10人の安全を確認したが、自宅待機させている」。

 旅行会社では、JTBが20日、約90人が予定通りタイへのツアーに出発する。「外務省の渡航情報も『引き揚げ』ではなく、問題はないと判断している」(広報)。HISには現地から「状況は落ち着いている」と連絡があり、パックのバンコク市内観光などを予定通り行うことを決めた。

 阪急交通社は大事をとり、同日午前出発の便のタイツアーを中止した。現地に滞在中の375人の旅行客については旅程の変更はしないという。

 同志社大で日本文化を学ぶバンコク出身のナリヤ・ヴィーリーラットさん(25)は午前3時ごろ、バンコクから車で約1時間の町に住む母ウルヤさん(55)から電話を受けた。「緊急事態だとニュースで伝えていて、軍も夜は外に出ないように呼びかけているが、緊迫した状況ではない。兵士と写真を撮っている人もいる。大丈夫」と話していたという。

 ナリヤさんは留学を終えて21日に帰国する予定だった。「飛行機がキャンセルになるかもしれない。帰国できるか心配だ」と話した。

   ◇

 タイのクーデターを受けて20日朝、福岡市などに拠点を置くタイ関係の機関などには問い合わせが相次いだが、おおむね「推移を見守る」「通常通り」という。ただ、日本からタイへのツアーではキャンセルも出始めた。

 タイ政府観光庁福岡事務所(福岡市中央区)は同日朝から、本国との連絡と、旅行会社や観光客らの問い合わせへの対応に追われた。本国は「臨時休日」となっており、「状況を見守るしかない」としている。

 また、タイ政府貿易センター福岡(同)にも、10月から始まる国際見本市の開催について、国内の業者から予定通り行われるかどうか、問い合わせが相次いだ。現時点ではそのまま開かれる予定という。

 福岡―バンコク間の航空便を毎日往復2便運航しているタイ国際航空南日本地区支店は、この日午前の便も通常通り運航。担当者は「現地から、特に混乱は無いという情報が寄せられた。キャンセルもない」と話した。福岡県も現地在留邦人や企業の状況把握をしているが被害はないという。

 西鉄旅行もタイにいる団体客と個人客計36人全員の無事を確認し、団体客については20日の市街地観光を中止。ただ、20日に出発する10人の団体客のうち、6人のキャンセルがあった。残りは空港で事情を説明し、判断してもらうとしている。

JTB九州は、福岡発の主催ツアーを通常通り出発させている。同社広報室は「影響は極めて限定的で、観光客に危険はないと判断している」という。ただ、クーデター発生が理由のキャンセルにはキャンセル料なしで応じることにしている。

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