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タイ投資熱に冷や水、工場停止も クーデター影響

2006年09月21日00時59分

 タイで発生したクーデターを受け、進出している日本企業の一部は工場の操業を止めるなどの対応を迫られた。タイは、日本の自動車や電機産業の一大生産拠点。今のところ経済への影響は長期化しないとの見方が多いが、「政治リスク」が高まれば投資意欲にも影響しかねない。日本政府がタクシン政権との間で大筋合意していた経済連携協定(EPA)の先行きに、不透明感が出てきたとの見方もある。

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タイへの外国直接投資額の推移

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 タイ政府が自動車産業育成策「アジアのデトロイト」構想を掲げていることもあり、日本の自動車各社はタイでの現地生産に力を入れてきた。

 トヨタ自動車のタイの生産拠点は日米に次ぐ規模。20日の日中は通常通り工場を操業したが、夜間は停止。21日は未定という。渡辺捷昭社長は20日、今後の影響について「どの程度かは様子を見ないと分からない」と述べた。日産自動車、いすゞ自動車は20日の操業を止め、21日以降の見通しも立っていないという。ホンダは20日の日中の操業を中止したが、夜には通常に戻る。

 松下電器産業はタイにグループ会社が21社あり、日本から社員160人が出向している。白物家電や電子部品などの生産拠点としているが、20日は全社を休業にし、タイへの出張も禁止した。

 日立製作所は、バンコク市内に本社を構えるエレベーター製造などグループ16社に限って休業とした。ソニーなどのように、同市内にある販売会社だけ休ませ、市外の工場は通常通り稼働させたメーカーも多かった。

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 05年のタイへの国外からの直接投資額(認可ベース)は9775億円。97年のアジア通貨危機以来最高になり、日本はこのうち半分強の5154億円を占めた。日本企業は中国への投資を急速に増やした中でも、タイ重視の姿勢を続けてきた。それだけに政情不安は投資に水を差しかねない。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)が今年3月、東南アジアとインドに進出している日系企業に「中長期的に最適な生産拠点」をアンケートしたところ、タイが25%で最も多かった。中国は反日意識の高まりなどが懸念される一方、タイを支持する理由の筆頭は「政治・社会の安定性」だった。

 北城恪太郎・経済同友会代表幹事は「クーデターが早く終了して安定した政権ができることは、日本にとっても重要だ」と語る。

 タクシン首相の主導で昨年9月に大筋合意にこぎつけたEPAにも暗雲が漂う。

 今年4月には署名式の日程まで固まっていたが、タイの政局混乱の余波で突然延期。その後も署名のチャンスを探ってきたが、経産省幹部は「これでいつ署名できるか分からなくなった」とあきれ顔だ。

 しかも、合意内容はタクシン首相主導でまとめられたもので、タイ経済界には見直しを求める声もある。日本では「新政権の方針次第では内容が覆される可能性がある」との見方も出ている。

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