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タイ南部はクーデター歓迎 テロ泥沼化、打開を期待

2006年09月25日01時46分

 イスラム過激派によるとみられるテロ事件が続き、非常事態宣言の続いていたタイ南部3県では、クーデターによる政権転覆を住民の多くが歓迎している。タクシン政権の強硬策とイスラム文化への無理解が泥沼化を招いたと考えているからだ。クーデターを主導したソンティ陸軍司令官はイスラム教徒で、武装勢力との対話も主張していることから、事態打開への期待は大きい。だが、早くもテロが再発するなど先行きは不透明だ。

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イスラム教徒が行き交う市場。クーデター後も平穏で、にぎわいは変わらない=タイ南部・ヤラー県で

地図

タイ南部

 タイ最南部に位置する小都市ヤラー。繁華街で洋服店を営むイスラム教徒のマナさん(63)は、「事態はひどくなる一方だった。ソンティ司令官なら別のやり方をしてくれるはず」と話した。

 8月31日。突然の爆発音で店から表に飛び出した。目に入ってきたのは、2軒隣の銀行から必死に逃げ出す人たちの姿だった。この日、繁華街では10の銀行が一斉に爆発に見舞われ、周辺も含めると被害は20軒を超えた。1人が死亡し、30人以上が負傷した。

 6月には駅の近くでも爆発があった。テロが起きるたびに街の人通りが減り、売り上げが落ち込む。夜7時以降に外出する人はほとんどいない。

 20世紀初めまでイスラム国家があった最南部ではイスラム教徒が約8割を占め、分離独立闘争も古くからあった。しかし、テロが激しくなったのは、前タクシン政権さなかの04年初めからだ。

 前政権は過激派を押さえ込むため、地域対話の拠点だった住民参加組織を解散させ、軍と警察による治安体制に切り替えた。仏教徒優先の政策も変わらず、イスラム教徒住民の不信を増幅させたとも指摘されている。

 2年半で犠牲者が1400人を超えるという泥沼の中で、イスラム教徒初の陸軍司令官となったソンティ氏は武装勢力のリーダーとの話し合いを提案したが、前政権はこれを認めなかった。

 それだけに、分離独立派の指導者の一人はクーデターを受けてただちに歓迎を発表し、「ソンティ氏は南部問題を真に理解している唯一の人物だ」と持ち上げた。

 仏教徒も期待する。爆弾テロがあった銀行の近くで貴金属店を営むチャイワットさん(57)は、「クーデターという手段に疑問があるが、少しでも状況がよくなってくれれば。私たちはここから逃げ出すわけにはいかないのだから」と話した。

 しかし、クーデター後なりを潜めていたテロが23日朝にパタニ県、24日夜にヤラー県で起き、爆発で兵士1人が死亡、警察官4人が負傷した。

 地域のイスラム教の指導者たちも、楽観はしていない。南部のテロはイスラム過激派だけでなく、麻薬組織やマフィアなども関与していると指摘されているためだ。

 ヤラー県イスラム評議会のニム前副議長は「政権交代はチャンスだが、そう簡単な問題ではない」と話している。

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