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王国復活へ人工増殖―ガラパゴス 「楽園」の光と影・1

2007年05月28日17時04分

 緑の茂みの奥に、黒光りする「巨大なヘルメット」が見えた。

写真森の中にたたずむ野生のゾウガメ。人の気配を感じたのか、ゆっくりと振り返った=ガラパゴス諸島サンタクルス島で、佐藤慈子撮影
地図  

 ガラパゴス諸島のサンタクルス島。島南部の港から車で40分ほど行った森の中で、野生のガラパゴスゾウガメに出会った。甲羅の長さ1メートル超、体重約200キロ。ガイドに案内されて近づくと、フーッと深いため息のような音を響かせた。

 ガラパゴス諸島は1535年、船で流れ着いたスペイン人司教が発見した。その後、島々は海賊の隠れ家となり、捕鯨船の寄港地にもなった。上陸した人々は、大量のゾウガメを殺して食べた。

 ゾウガメの激減に拍車をかけたのは、人とともに入った外来動物だ。野生化したヤギはゾウガメのエサとなる植物を食べ、ネズミは生まれたばかりの子ガメを襲った。

 現在の生息数は、推定で2万頭前後。国際NGOが運営するダーウィン研究所のブライアン・ミルステッド博士(50)は「島が発見された当時は、少なくとも20万頭以上はいたはず」と話す。

 ゾウガメの甲羅は、馬の鞍(くら)に似た形や丸いドーム形など、生息する島やエリアごとに違う形に分化し、ダーウィンの進化論のヒントにもなった。現存するのは11種類。しかし、すでに絶滅した種類もある。

 かつての「ゾウガメ王国」を復活させようと、研究所と国立公園局はいま、人工増殖に力を入れている。増殖施設を訪ねると、保温装置の中で卵の殻が割れ、子ガメが生まれ出ようとしていた。

 これまでに約4000頭の子ガメが、六つの島に放された。90年代半ばからは、子ガメを放す前に、鉛筆の芯の先ほどのマイクロチップを皮膚の下に入れている。こうして放した子ガメは約1700頭。読み取り装置で瞬時に個体番号が分かり、追跡調査に役立っている。

 「各島での生存率を、チップの情報で集計できる。そのデータに沿って、新たな増殖計画を立てられる」と、技術職員のフレディ・ビジャルバさん(27)はいう。

 「人間は長い歴史の中で、たくさんのゾウガメを殺した。でも今は、このカメのおかげで観光が成り立ち、島の人も暮らしていける。ゾウガメ保護の最前線で仕事ができて、とてもうれしい」

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 ガラパゴス諸島は来年、世界自然遺産の登録から30年を迎える。広い海に隔絶され、多数の固有種がすむ生物の楽園だ。しかし、島内人口の急増や外来種の拡大など悩みも多い。ガラパゴスの現状を報告する。

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 ガラパゴス諸島 南米大陸から約1000キロ離れた太平洋上にある。イギリスの博物学者チャールズ・ダーウィン(1809〜82)が、進化論の着想を得たことで知られる。エクアドル領で、13の大きな島と多数の小島・岩からなる。面積は約8000平方キロ。1978年、ユネスコの世界自然遺産第1号に登録され、01年に海域も追加された。

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