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世界の気温「100年後1.8〜4度上昇」 温暖化会合

2007年02月02日16時11分

 地球温暖化の科学的根拠を審議する「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会」会合が1日、パリで開かれ、第4次評価報告書を承認した。報告書では、温暖化は確実に進み、人間活動による温室効果ガス排出が要因の可能性がかなり高いことを確認。21世紀末には、循環型社会を実現しても約1.8度、化石燃料に依存し高度経済成長した場合だと約4度と、幅はあるが気温上昇は避けられないと予測した。温室効果ガス削減と、気温上昇で起きる事態への適応を強く迫る内容だ。拘束力はないが、京都議定書などの交渉にも影響を及ぼしそうだ。

 世界の平均気温は、上昇している。報告書によると、1906〜2005年の世界の平均気温は、0.74度上昇し、第3次の報告書にある0.64度(1901〜2000年)より大きな上昇となった。北極の温度上昇率は、地球全体の平均のほぼ2倍だ。

 海面上昇も確認した。20世紀の100年間で約17センチ上昇。海水温の上昇も3000メートルの深さまで及んでいた。

 南北アメリカの東部、欧州北部、アジア北部と中部では降水量が増加。一方、地中海周辺、アフリカ南部、南アジアの一部で乾燥化していた。

 IPCCは、こうした変化が人間の活動によるものかどうかを検証した。主要な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の濃度はいま、産業革命以前の約1.4倍。メタンは2.5倍になっている。

 観測された広い範囲の気温や海水温の上昇、海氷の減少は、太陽活動の周期など自然変動だけでは説明がつかず、温室効果ガスの増加が主因と考えるとつじつまがあった。

 ただ、人為的温暖化の確かさを報告書でどのように表現するかが議論となった。最終的には90%を超す確率であることを示す「人為起源の可能性がかなり高い」とした。

 IPCCでは、将来の六つのシナリオを示し、21世紀末の平均気温が80〜99年に比べ、省資源で環境に配慮した循環型社会を実現すれば約1.8度(1.1〜2.9度)上昇、化石燃料に依存して高い経済成長を実現すれば約4度(2.4〜6.4度)上昇、と予測した。同様に、海面上昇については、18〜59センチの上昇と予測した。

 北極海の海氷縮小は今後も続き、北極海の夏の海氷は21世紀後半にほぼ消滅する。熱波や豪雨現象が増える可能性がかなり高くなるほか、降水量は高緯度で増え、低緯度で減る傾向だという。

 大気中のCO2が増えると海水に溶け込む量も増え、サンゴの骨格などが分解されてしまう恐れもあると指摘している。

●1度上昇で水供給危機5000万人、3度上昇で1億7000万人が洪水

 世界の平均気温が数度上昇したらどうなるか。英政府が発表した「気候変動の経済影響」(スターン報告)では、具体的な様子を描いている。

 例えば、1度上昇で5000万人に水供給の危機▽2度上昇でアフリカの作物収量が5〜10%落ちる▽3度上昇で1億7000万人に洪水の危険が及ぶ▽4度上昇で北極圏のツンドラの半分が消滅、などだ。22世紀に5〜6度の上昇があった場合、損失は世界の国内総生産(GDP)の5〜10%に及ぶとも警告している。

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【IPCC第1作業部会による第4次評価報告書の骨子】

・世界の平均気温・海洋温度の上昇、氷河の融解の増加、海面上昇から、地球温暖化は明らかである。

・20世紀半ば以降に観測された世界の平均温度の上昇は、人為起源の温室効果ガス増加に原因があるとする確率は90%を超す。

・今後20年間では、10年あたり0.2度の温度上昇が予測される。

・21世紀末までに温暖化はさらに進む。世界の平均気温は、20世紀末に比べ、循環型社会を実現した場合で約1.8度上昇、高い経済成長で化石燃料に依存した場合だと約4度の上昇を予測。

・21世紀末の海面水位は、20世紀末より18〜59センチの上昇を予測。

・台風やハリケーンの発生数は減少するが、強さは増す。

・北極海の夏の氷は、21世紀後半までにほぼ消滅する。

・大気中の二酸化炭素濃度の増加により、海洋の酸性化が進む。

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 〈キーワード:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)〉 世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)が、最新の科学的知見をもとに温暖化の予測、影響、対策などを評価するため、88年に共同で設立した。世界中の専門家が参加し、ほぼ5年ごとに発表している報告書は、温暖化に関して最も信頼できる科学的情報とされる。前回の報告は01年で、各国の温暖化対策に役立っている。

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