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製紙業界、ボイラー燃料のバイオマス化加速 原油高で

2007年02月06日17時00分

 製紙各社が、木くずなど生物資源(バイオマス)を燃料にするボイラーの導入を加速させている。割高な重油の使用量を減らせる上に、木材など資源の有効活用にもなるからだ。紙の市況低迷と原燃料高で製紙業界を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、昨夏には首位の王子製紙が中堅の北越製紙に異例の敵対的買収を仕掛けた。危機感を高める各社は、バイオマスボイラーに収益改善の期待をかける。(吉川啓一郎)

写真燃焼後の灰をためるタンクや配水管などが炉の外側に張り巡らされたバイオマスボイラー=日本製紙石巻工場で

 宮城県石巻市、旧北上川の河口近くにある日本製紙の石巻工場。写真のカラー印刷に適した塗工紙など印刷用紙、新聞用紙などを11台の製紙機で年95万トン生産する同社の基幹工場だ。

 この工場で昨年10月、53億円を投じたバイオマスボイラーが稼働した。外部から買ってきた建設廃材などの木くずや、工場排水から回収する木材繊維などの燃料を、コンベヤーで炉の上部まで運んで投入。850度の砂と混ざりながら燃え、1時間に最大180トンの熱蒸気が発生する。この蒸気で製紙機の動力になる自家発電用タービンを回し、紙の乾燥にも使う。

 稼働に伴い、重油ボイラー3基のうち1基を止めた。同工場の重油使用量は以前の6割減の年3万7千キロリットルに。重油の購入量が減り、木くずなどの購入費を差し引いても収益が良くなった。「計画時は年10億円の改善を見込んだが、原油高騰で20億円超に上りそう」と兼子誠工場長。

 04〜06年に王子製紙は3台、2位の日本製紙は2台のバイオマスボイラーを新設。07年以降も王子2台、日本5台が稼働予定だ。他社も導入を進める。

 製紙業界では「重油価格は今後も高止まりする」(王子)との見方が強く、重油の使用量削減が大きな課題だ。王子の場合、06年4〜12月期連結決算では重油高が収益を49億円押し下げた。

 これまでも木材チップの廃液などは燃料に再利用してきたが、二酸化炭素の排出削減も求められる中、さらにバイオマスを活用しようと、建設廃材や廃プラスチック製固形燃料(RPF)などを外部から買い、専用ボイラーを増やしている。

 ただ、バイオマス活用の取り組みはセメントなど他業界でも進む。「木くず類は重油よりは安いが、取り合いが始まっている」(日本製紙の兼子工場長)状況で、値上がりも懸念されている。

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