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長野県知事の脱「脱ダム」、各地の論争に影響も

2007年02月09日08時18分

 長野県の村井仁知事が田中康夫前知事の「脱ダム宣言」を事実上撤回し、8日、浅川(長野市)に「穴あきダム」をつくると表明した。地方での「政権交代」による百八十度の政策転換だ。「脱・公共事業」の流れを象徴した「脱ダム宣言」だったが、その「無効化」は、各地で続くダム論争に微妙な影響を与えそうだ。

 国土交通省の安富正文事務次官は8日の会見で「村井知事は現実的な対応をした」と評価したうえで、「(穴あきダムが)治水に有効であるとすれば、今後、色々なところで活用される方式ではないか」と述べた。

 淀川の治水をめぐって国交省と対立した経験を持つ今本博健・京大名誉教授(河川工学)も「穴あきダムが長野でも採用されたとなれば、ダム推進派の勢いは増すだろう」と予想した。各地で利水の需要が減る中、環境への負荷が少ないとされる治水専用の穴あきダムが「逃げ道として建設されている」と、今本さんは指摘する。

 国内で唯一完成している穴あきダムの益田川ダム(島根県)には、毎週のように全国各地の自治体から視察にやってくる。当初のダム計画より堰堤(えんてい)を約10メートル下げて小型化し、事業費も2割安くできたといい、「折衷案として、反対住民にも納得してもらえた」と県の担当者は言う。

 全国で計画中の穴あきダムは国交省の直轄・補助事業だけで現在九つ。このうち、山形県の斎藤弘知事は昨年11月、最上小国川ダムを「穴あき」で建設する方針を表明したばかりだ。反対派の沼沢勝善・小国川漁協組合長(70)は「就任前、斎藤さんは私に『脱ダム宣言』の文字が入った田中前知事の名刺を見せてくれたので期待していたのだが……」と話す。

 「脱ダム宣言」から6年。法政大の五十嵐敬喜教授(都市政策論)は、長野県の判断について「県営ダムの話とはいえ、国が手厚い補助金で支配する中央集権的な公共事業の構図に戻るということではないか」と指摘している。

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