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風力発電と景観、両立の道は? 国立公園内巡り研究会

2007年02月17日17時33分

 経済産業省・資源エネルギー庁と環境省は、風力発電と自然環境保護を話し合う研究会を発足させた。風車を国立公園などでも柔軟に建てられるよう規制を緩和することを検討する見通しだ。両省は、自然エネルギー推進では一致するが、規制緩和をめぐっては温度差もある。

 風力発電は、温室効果ガス排出削減に役立つ点では環境に優しいが、景観を損ねたり、野鳥の衝突事故を招いたりする問題もあり、地元住民らの反対運動も起きている。

 経産省によると、風力発電の設備容量は05年度末で108万キロワット(1050基)。政府は、地球温暖化対策として10年度に300万キロワットに拡大する目標を立てているが、達成は困難とみられる。風力発電施設の適地確保が年々難しくなっているためだ。

 こうした現状に対し、自然エネルギー利用を電力会社などに義務づけている経産省や、自然エネルギーで発電して電力会社に売る事業者は、国立・国定公園などでも風車を設置できるように規制緩和が必要との立場だ。

 研究会は、両省や環境保護団体、風力発電事業者、学識経験者らが参加。風力発電と環境保護の両立に必要な対策などを6月までにまとめる。

 環境省は04年、国立・国定公園で風力発電施設の設置審査基準を明確にするため、自然公園法施行規則を改正したが、設置は進んでいない。経産省は、研究会を通じて再改正を促す考えだ。

 一方、環境省は07年度から風車に野鳥がぶつかる事故の防止策を探る3年間の実証実験をする計画で、風力発電推進を環境保護より優先させる議論には乗りづらい。「研究会は規制緩和に直接つながるものではない」(国立公園課)として規則再改正にも慎重だ。

■野鳥の衝突、各地で

 日本野鳥の会によると、04年以降に報告された風力発電施設への野鳥の衝突事故は、北海道で11件、長崎県で10件あるという。なかでも多いのが、長崎県五島市(福江島)で、02〜04年にトビやミサゴなどによる5件の衝突が起きた。

 ただ、いずれも野鳥の会の会員が、研究誌や学会誌から偶然見つけたもので、系統立てた調査結果ではない。経済産業省によると、九州の風力発電設備容量の全国シェアは04年度末で20.3%。うち半分近くを鹿児島県が占めるが、同県の事例は把握していない。

 同会は、野鳥の衝突が起きても風力発電会社に報告義務はなく、明るみに出ていないケースがたくさんあると見る。同会の古南幸弘・自然保護室長は「風力発電は大切だが、希少な野鳥類の衝突死は避けなければならない。衝突の起きやすい地形や気象条件などを解明するうえでも、まずは本格的な実態調査が必要だ」と話す。

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