現在位置:asahi.com>ニュース特集>地球環境> 記事 東京大気汚染訴訟、和解成立の条件整う2007年03月17日06時11分 東京都内のぜんそく患者らが国と都、自動車メーカー7社などに約20億円の損害賠償を求めた東京大気汚染公害訴訟の控訴審の和解協議で、日産自動車が和解成立に向けて一時金の支払いを受け入れる用意があることが16日、分かった。一時金について応じる意向を固めたトヨタ自動車に加え、支払いを拒んできた日産が態度を軟化させたことで、提訴から11年ぶりの和解成立の見通しが高まった。一部のメーカーが態度を決めかねているが、トヨタなどは4月までにメーカー7社の方針をまとめたい考えだ。 主な和解条件のうち、都が提唱する「新たな医療費助成制度の創設」については、メーカー側が拠出に応じる意向を固めている。「環境対策の推進」については、国が排ガスに含まれる有害物質を抑制する装置の開発や研究への支援など、一定の方向性を示している。 残された条件のうち、今回、「一時金」についてもめどがついたことで、包括的な解決に向けて前提条件が整ったことになる。関係者によると、トヨタと日産は16日、原告側に早期和解に積極的な意向を伝えた。 原告側は「自動車メーカーが排ガス被害に責任を持つのは当然だ。トヨタや日産が積極姿勢を示したことで、和解協議は大きく前進した」と評価している。 大気汚染訴訟で、自動車メーカーの一時金拠出は実現すれば初めて。 四日市公害訴訟に始まる一連の訴訟で、自動車排ガスの影響が問われたのは西淀川、川崎、尼崎、名古屋南部の4訴訟。いずれも工場ばい煙との複合汚染とされ、自動車メーカーの責任は否定された。 東京訴訟は96年、東京都内の呼吸器疾患患者らが1次提訴。ディーゼル車排ガスによる健康被害が問われた。原告側は、公害対策に優れたガソリンエンジンを選択せず、売り上げ優先のため小型トラックのディーゼル化を飛躍的に高めたメーカー側の責任を追及した。 工場のような排ガスの「固定発生源」と違い、ユーザーが管理する自動車という「移動発生源」について、メーカーや道路を管理する国や都などの責任の有無が焦点となった。 一審・東京地裁判決は国と都などの責任は認めたが、メーカーは自動車の走行を管理・支配できないと判断。排ガス被害にメーカーが高度の注意義務を持つとしたが、賠償責任は否定した。 このため、メーカー側には社会貢献の名目で医療費助成に応じることはできても、一時金支払いは株主の理解が得られないと抵抗が強かった。しかし、支払いを拒否して和解協議が決裂すれば、環境対策に取り組むメーカーの企業イメージに傷がつくとの経営判断が働き、受け入れに傾いたと見られる。 PR情報この記事の関連情報 |