現在位置:asahi.com>ニュース特集>地球環境> 記事 満潮、水に浸る広場 海面上昇のツバル2007年03月22日20時22分 ツバルの首都フナフティ。18日午後3時すぎ、子どもたちが集まる広場で、地面から泡がわき出してきた。しだいに水たまりが広がる。約1時間半後の満潮時には、深さ約30センチまで浸った。子どもたちは驚きもせず、水遊びを楽しんだ。
滑走路建設用の土砂を確保するために掘ってできた池があった。その上に高床の住宅が並ぶ。南側の豚小屋は冠水し、豚が水につかっていた。 近くに住むシンガノ・タレシさん(72)は「気候変動は心配。海面がさらに上がれば、ここで生きていくのは難しい」。昨年の大潮では親類の家が床上まで浸水した。 生活に使う水は、各戸ごとに雨水がタンクにためられていた。乾期が長引くと、水不足の恐れが増す。昨年6月には、新たな海水淡水化装置を導入したという。 ツバルは人口約1万人。首都フナフティがあるフォンガファレ島は、南北25キロ、東西18キロのフナフティ環礁にある三日月状の島だ。毎年2、3月の大潮は最も干満の差が激しく低地は必ず浸水する。 ツバルでは93年以降、海面が7〜8センチほど上昇した。島の標高は平均1〜2メートルで高くても3メートルほど。サンゴ礁のかけらや砂でできたもろい地形だ。浸食で海岸がえぐれ、ココヤシが倒れていた。 78年のツバル独立時、フォンガファレ島の人口は800人余りだったが、今や5000人近い。埋め立てられた湿地にどんどん住むようになった。 ツバルのタバウ・テイイ副首相兼環境相は、17日に本社機「あすか」で上空から自国を眺め、小さく低い島々を指さした。「対策は困難。でも、できることなら移住したくない」 ◆地域に合う適応策必要 海面の高さは温暖化の影響をまともに受ける。寒かった2万年前の海面は、今より120メートルも低かった。ツバルだけでなく、隣接の島々やインド洋のモルディブなど標高がゼロメートルに近い環礁の国々には深刻な問題だ。 世界平均の海面水位は61〜03年に年間1.8ミリ上昇したが、93〜03年だけみると年3.1ミリも上がっている。海面上昇はすでに現実だ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、21世紀末の海面は20世紀末に比べ、18〜59センチ上昇すると予測する。 この予測は、あくまで平均の高さだ。場所ごとに、そのときの気圧や風、海流、潮の満ち引きで大きく変わる。海面水温の上昇に伴い、熱帯低気圧の勢力も強まるとの予測もある。被害の加速が心配される。 こうした影響は環礁に限らない。海面上昇が続けば、日本でも今後、砂浜の後退や地下水の塩水化の恐れはある。 茨城大の三村信男・地球変動適応科学研究機関長は「大潮のツバルで起きていることは、将来の海面上昇で起こることの前触れ。地域に合わせた適応策を考えなければならない」と指摘する。 PR情報この記事の関連情報 |