現在位置:asahi.com>ニュース特集>地球環境> 記事 次に消える島 〈地球異変・南太平洋の島々から〉2007年04月15日08時45分 テニスコート2面もないような小島が波に洗われていた。真ん中に背の高いヤシ数本と、わずかな茂みが残るだけ。
南太平洋の国ツバル。細長い環礁でできている。温暖化による海面上昇で「次に消える島」と言われるバサフア島は、かつては2倍以上の大きさがあったと近くの島民がいう。少し北では、90年代の後半に消えた島の土台が波間に見えた。 隣国キリバスでも海岸沿いの道路は波にえぐられ、補修に追われていた。あちこちの島々で海岸の浸食が深刻だ。 地球温暖化を科学的に検討する国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)。温暖化の影響を考える第2作業部会が6日にまとめた報告書は、熱帯の小さな島々は特に温暖化や海面上昇に弱いと指摘。浸水、高潮、浸食などが海面上昇で悪化すると警告した。 南太平洋大(本部・フィジー)のパトリック・ナン教授(海洋地球科学)は「浸食の要因をめぐって数年前はさまざまな議論があった。だが今は、海面上昇が主要因であると考える科学者が多くなってきた」。海面が上昇すると、広範囲で地形が不安定になって海岸が削られやすくなる。 生活も脅かされる。冠水や地下水の塩水化で農業がだめになり、移転を迫られた集落もある。 「海面上昇は地域社会の基盤を脅かす」「多くの島の水資源が減る」。報告書に書かれた科学者の懸念は、すでに現実のものとなりつつある。 (文・佐々木英輔 写真・山本壮一郎) □ 南太平洋の島々では、迫る海に追われるように生活を変えざるを得ない人々がいる。そんな島の異変と暮らしを追う。 PR情報 |