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削減負担、各産業に分散 脱温暖化社会へ 欧州の挑戦・4

2007年05月11日16時34分

 英国の高級スーパー、マークス・アンド・スペンサーの青果売り場。原産国・地域などの表示とともに飛行機マークが張られた商品が並ぶ。

 海外からの空輸品で、環境負荷が大きいことを「告白」する。対象は、イチゴ、ラズベリー、サヤエンドウなど20種類以上。購買意欲を減退させかねないが、「顧客に判断基準を与えるため」(広報担当)という。

 他のスーパーも、有名デザイナーを起用したマイバッグを格安で売ってレジ袋の利用を減らしたり、配達に電気自動車を導入したりして、温暖化対策を競い合う。環境に優しい商品を買ったら利子が安くなるクレジットカードも登場した。同じ機種を使い続けると通話料を割引する携帯電話会社もある。

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 熱波や洪水、雪のないスキー場と異常気象が目立つ欧州では、温暖化への関心が高い。英国では、こうした環境意識の高い顧客層を「グリーン・ポンド」と呼び、一定の購買力と影響力を認めている。温暖化対策は商売に欠かせなくなってきた。

 拍車をかけたのが、英国政府の諮問で昨秋まとめられた「スターン報告」だ。

 現状を放置した場合、来世紀前半に気温が5度以上高くなり、ヒマラヤの巨大氷河が消えたり、ニューヨークや東京で高潮の被害が起きたりする可能性を指摘。その場合の経済的混乱は、世界大戦や大恐慌並みで、温暖化対策をした方が「安くつく」とした。

 ほぼ同時期、世界の主な石油消費国でつくる国際エネルギー機関(IEA)も、エネルギーの安定供給や二酸化炭素(CO2)削減に直結する省エネ策などは「1ドルの投資で2ドルの効果がある」(マンディル事務局長)との分析を発表した。長い目で見れば、コスト増ではなく割安だとの認識が広がりつつある。

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 だが、誰がどんな責任と負担を負うのかとなると、簡単にはいかない。

 ドイツ・ベルリンで4月4日に開かれた自動車大手ダイムラークライスラーの株主総会。同社が参加する自動車レースの最高峰F1のCO2排出について株主から質問があり、ツェッチェ社長はこう答えた。

 「F1の11チームが年間の全試合で使う燃料は、大型ジェット機がフランクフルトから東京へ飛ぶ片道分より少ない」

 問題視すべきなのは車より飛行機だと言わんばかりの説明だった。

 その航空業界。急成長を続ける格安航空最大手ライアンエアー(アイルランド)のオリアリー最高経営責任者(CEO)は「航空業界が排出する温室効果ガスはわずか2%。自動車や発電など気候変動の主因こそ政治家が取り組むべき課題だ」と負けてはいない。

 海運も同じ。硫黄分などの多い燃料を使っていることがやり玉にあげられているが、業界団体は「硫黄分の少ない燃料に精製すると、かえってCO2排出を増やしかねない」。航空機や自動車を引き合いに出して、船の責任は小さいと訴える。

 個別の主張を受け止めながらも、欧州連合(EU)は規制の手を緩めない。自動車には、現在は走行距離1キロあたり約160グラムのCO2排出量を、12年までに130グラムに減らすことを義務づける方針だ。航空機や海運でも、排出量の上限を設ける動きが出ている。

 地中海から北極圏まで広がる欧州。「建築部門での規制が、いずれ大きな問題になるだろう。住宅の仕様も建設に伴う環境負荷も、地域によってまったく違うからだ」との声がある。だが、あるEUの官僚は言う。「欧州は団結して前に進んでいく」

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