東京証券取引所グループは、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量を企業間で売買する「排出量市場」の創設に向け、本格検討に入る方針を固めた。4月にも研究会を立ち上げ、市場創設を目指す。政府が排出量取引制度導入の検討に入り、経済界も容認の姿勢に転じたことから、環境が整ったと判断した。
研究会は、排出量取引の方法や市場運営などについて議論し、政府、経済界と連携して幅広い企業が参加する国内排出量市場の枠組みを作る。意見がまとまれば、数年内に国内初の排出量市場が創設される可能性もある。東証を軸に市場をつくることで調整がつけば、金融庁の認可を得て創設する方向だ。
温室効果ガスの排出量取引制度には、政府が各企業に排出の上限を割り当て、上限に達しない企業が余った枠を売り、上限を守れない企業が買う仕組みなどがある。排出が少なければ利益になり、多ければコストになるという市場原理で削減を促す狙いがある。
欧州連合は05年にこの制度を導入し、欧州気候取引所などで取引が活発になっている。米国やカナダの一部の州でも導入の動きが出ている。06年の市場規模は世界全体で300億ドル(約3兆1800億円)とされる。
日本では排出量取引制度がなく、出遅れている。東証内では「世界の流れから取り残されないためにも市場創設の検討が必要」との声が出ていた。このため、1月に貴金属や石油などの取引を扱う東京工業品取引所と排出量市場の共同研究などで合意し、本格検討の準備を進めてきた。
政府も、7月に北海道洞爺湖で開かれる主要国首脳会議(G8サミット)を控え、首相直轄の地球温暖化問題に関する有識者会議を作り、排出量取引制度の検討を始める。企業の排出枠割り当てに反対していた日本経団連も今月に入り、「世界のマジョリティーならば、積極的に検討していく価値がある」(御手洗冨士夫会長)などと容認姿勢に転じた。