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アフリカ 縮む巨大湖、蚊の巣窟に マラリアが高地にも

2008年3月9日3時24分

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 アフリカ最大の湖、ビクトリア湖。水位が下がり、係留されていたはずのボートが陸に上がってしまっていた。ところどころできた水たまりにはボウフラが泳ぎ、いわば蚊の巣窟(そうくつ)。アフリカで子どもの主な死因である感染症マラリアを媒介するハマダラカの幼虫だ。マラリアは、非流行地だったケニア西部の高地にも多発するようになった。気候の変化がマラリアを広げ、幼い命を危険にさらしていた。

 ケニア西部のスバ県ビタ。ビクトリア湖岸に幅10〜20メートルの草地が続く。長崎大熱帯医学研究所ケニアプロジェクト拠点の現地スタッフが、ひしゃくで水たまりの水をすくうと、細長く白いハマダラカの幼虫が数匹見つかった。

 湖畔で直径30センチほどの穴を見つけた。夜、湖にすむカバが草を食べに陸に上がり、湖岸の湿地を歩き回った後にできた足跡だった。ここも水たまりとなり、蚊の繁殖地になっていた。

 数年前まで湖水はこの付近まであった。皆川昇・長崎大教授(生態学)は「湖岸の他の場所でも蚊の繁殖地ができている可能性がある」と話す。

 米航空宇宙局(NASA)などの衛星データによると、ビクトリア湖の水位はピークの98年から1.5メートル下がった。90年代の平均と比べても50センチ低い。降雨量の減少、そして下流にあるダムへの過剰な流出が原因。01〜04年の年間平均降雨量は50〜00年と比べて4.2%減っていた。

 一方、標高千数百メートルを超すケニア西部の高地でも、20年ほど前からしだいに流行し始めた。「高地マラリア」だ。雨期の3〜5月にマラリア患者が増える。グチャ県では97年に異常な長雨があり、その後マラリア患者が急増した。

 気温が20度を下回ると、病気の原因になるマラリア原虫は蚊の体内で成長できない。気温が上昇すると、蚊の繁殖サイクルも短くなり血を吸う回数が増え、繁殖できる期間も延びる。雨が降れば水たまりができ繁殖地も広がる。気温の上昇が、高地にまでマラリアを押し広げた原因の一つと考えられる。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)も、昨年まとめた報告書で温暖化でエチオピアやケニアなどの標高の高い非流行地に、50年までにマラリアが侵入、80年までに感染に非常に適した地域になる、と予測している。

 皆川さんは「気候変化や人為的な環境変化により蚊の数が増え、マラリア患者が増える可能性が十分にある」と話す。

 世界保健機関(WHO)などの推計では、マラリアの犠牲者はアフリカだけで年間100万人以上。その犠牲者の大半が、5歳以下の子どもとされている。

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