現在位置:asahi.com>ニュース特集>相次ぐ金属盗難> 記事 金属くず、中国向けに売り上げ急伸2007年04月01日06時10分 脱税で東京地検特捜部に摘発された鉄くず回収処理業者が、中国向けの輸出で売り上げを急激に伸ばしていたことが分かった。仕入れた鉄くずを裁断・圧縮して加工し、港に運んで船に積み込んでいたという。中国各地の建設ラッシュに伴う鉄需要の高まりや、金属相場の高騰による売り上げの伸びが事件の背景にあるとみられ、全国各地で相次いでいる金属盗とともに、「メタルバブル」は各方面に波紋を広げている。
●「メタルバブル」 千葉県八街市の「丸二商店」の役員(62)は、04年までの3年間に、計11億7400万円を隠し、約4億3100万円を脱税したとして所得税法違反(脱税)の罪で特捜部に起訴された。長男(32)や顧問税理士(61)らも法人税法違反(同)の罪で在宅起訴されている。 同商店は、近年の鉄くず相場の高騰に伴って急成長した。01年夏の1トンあたり6200円から04年には2万円台、今年に入ると3万円台にまで相場は急騰。売り上げも02年に約5億円だったのが、04年には3倍の15億円超にまで伸びた。 関係者によると、この相場急騰に伴う売り上げ増を背景に、04年に独立した長男らのために資金を残したかったことなどが動機という。 役員らはかつて、鉄くずの大半を製鉄所に売っていたが、近年は専門の商社を通じて中国に輸出する分が4割前後にまで膨らんだ。横浜市や千葉県船橋市の港にトラックで直接運び込み、船に積み込んでいたという。 取引があった商社は「中国の業者は『高くてもたくさん買いたい』だから、面白いように売れたのでは」と話す。建設ラッシュや北京五輪開催で需要が高まっており、「まさにバブル状態だ」。 同商店の八街市と埼玉県所沢市にある処理場には、関東一円から大量の金属くずがトラックで連日持ち込まれる。「台貫」という巨大なはかりに載せ、重さに応じて現金決済で売買されるという。持ち込まれた金属は「ギロチン」と呼ばれる機械で裁断し、「プレス」と呼ばれる圧縮機で固めて売っていたようだ。 ●盗品はすぐ加工? ところで、こうした業者に持ち込まれる金属くずの中に、盗品は含まれていないのだろうか。 同商店とは別の、北関東の複数の金属くず業者は取材に「鉄ポールや側溝のふたなど、盗品らしきものが自分の所に持ち込まれたことはある」と認める。ただ、「どこで手に入れたかなんて聞かない。知るとこちらまで危ない。重さに応じて現金を渡すだけだ」。 さらに別の業者は「すぐにギロチンやプレスで形が分からないようにしてもらえればいい。やばいものは、直接港に持って行けば、ブローカーがそのまま引き取ってくれる」と明かした。 ●低モラル、高需要 日本鉄リサイクル工業会は盗品の流通について「まともな業者は足がつくからやらないはずだ」とするが、「普通の鉄くずと盗品を混合して持ち込まれると見分けがつかない」とも言う。 業界関係者は「1トン4万円台を記録した70年代や80年代にも金属盗はこれほど多くなかった。盗む人間、受け入れる業者双方のモラルの低下が背景にある」と嘆く。 しかし別の関係者は言う。「金属くず業者は今や世界的なビジネスに組み込まれている。需要がある限り、流れは変わらない」
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