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選手傷つけたくない 特待生制度400校

2007年05月02日21時46分

 特待生制度は、全国に広く根を張っていた。日本高校野球連盟による全国調査で、400校近い高校が、日本学生野球憲章に違反する特待生制度を設けていたことが明らかになった。戸惑いながらも学校現場は制度廃止へ動き出し、日本高野連も新たな基準作りに乗り出す考えを表明した。

図都道府県別申告校数

 ●大会出場、対応に差

 特待生だった選手は5月中の対外試合出場が禁止される。チームとして春の地区大会や県大会に出場するか、辞退するか。多くの高校が頭を悩ませた。

 春の選抜大会で全国制覇した常葉菊川(静岡)。2日午後、吉村耕司校長が静岡県高野連を訪れ、違反があったと申告した。当初は人物を総合的に判断しているので違反にあたらないとみていたが、日本高野連の解釈基準を見て精査し直したという。

 4月末からの春の県大会。大会前にはまだ判断がつかなかったが、出場を決めた。「多くの応援があっての甲子園優勝。簡単に辞退すべきではない」(吉村校長)。大会途中での混乱を避けるため、直前に登録選手を大幅に入れ替えた。初戦で5―6で敗退した。

 一方、三島(静岡)は同じ大会の出場を「けじめをつける」と辞退した。県高野連からは、学業による奨学制度に切り替える案も示された。だが、渡辺紘校長は「日夜練習に励む選手たちに対して、学業成績を理由に『君は可、君は不可』などと言えるわけがない」と断った。

 例年、この大会で夏の地方大会のシード権が決まる。しかし、「このような状況でシードを決めていいものか」という声が県高野連内にもあり、先送りになっている。

 保護者からは、家計の不安を訴える声も出ている。

 「公立高校を受験し直したい」「経済的に苦しいので学校を辞めることも考える」。野球部員49人のうち44人が特待生の寒川(さんがわ)(香川)では保護者会で不満が噴出した。

 学校側は連日、代替措置について議論した。成績優秀者には学力特待制度を適用したり、全校生徒が利用できる学校の奨学金制度を利用したりすることで、高野連の了承を得たという。稲田康雄教頭は「保護者に納得してもらえれば、全員が代替措置で卒業できると考えている」と話す。 

 ●高野連会長「野球憲章変えない」

 大阪市内の日本高校野球連盟では午後5時過ぎから、脇村春夫会長、田名部和裕参事が記者会見に臨んだ。取り囲むテレビカメラは10台を超え、関心の高さを示した。

 脇村会長は「非常に数が多いと驚いている。2年前に通達を出したが、日本高野連としてもフォローアップが足りず、十分に理解されていなかったのは大変遺憾に思っている」と率直な感想を述べた。過去の歴史もふまえた上で、「日本学生野球憲章の13条に基づいて、教育の一環としてフェアプレーの精神をもってやっていくが、今後は(特待生制度について)何らかの基準を作らなければいけない」。13条の順守とともに、新たな基準作りに取り組む姿勢を示した。

 4月24日に特待生制度の全国調査を都道府県連盟を通じて加盟校に通達して以来、日本高野連には憲章違反かどうかの問い合わせが118件あった。学力や経済的事情を考慮して総合判断した事例がほとんどだったというが、実際は野球部で活動することが必須条件となっていることが多く、違反と判断したという。

 プロ野球・西武の裏金問題を発端に明らかになった特待生制度。日本高野連としても05年11月の通達後、指導が不足していた点は反省している。田名部参事は「今回、特待生の解釈について様々なパターンを学んだ。差し支えないものについては、わかりやすい基準を出せるようにしたい。また、(各校からの)相談の窓口として機能するようにしていかなければならない」。再びこのような事態を招くことがないよう、取り組みを継続する必要性を示した。

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