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正念場のWTO交渉に影響も 農水族重鎮の松岡氏自殺で

2007年05月28日21時27分

 松岡農林水産相が自殺したことで、協議が正念場を迎えている世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)や農政改革などに影響が出そうだ。有力な農林族議員の一人として存在感を発揮してきた松岡氏を失い、農水省は衝撃を受けている。

 「いま、農業の改革に我々は挑んでいる。農林水産業の改革に情熱を持って取り組むことができる人を選びたい」

 松岡氏の後任人事について、安倍首相は28日、首相官邸で記者団の質問に、そう答えた。

 同省の小林芳雄事務次官も同日夕の記者会見で「課題が多い中、精力的に仕事に専念されていた。信じられない」と、沈痛な面持ちで話した。

 農水省が抱える課題のうち最も大きいのは、年内の最終合意を目指しているドーハ・ラウンドだ。松岡氏とともに、WTO交渉に臨んできた甘利経済産業相も「(松岡氏は)大事なパートナーで、極めて有能な農業担当大臣。非常に残念だ」と動揺を隠さなかった。

 松岡氏は、農水相就任前から農林族議員の立場でWTO交渉にかかわってきた。農水省幹部は「知識も経験もあり、各国の閣僚と渡り合える松岡大臣を失った痛手は大きい」という。

 同省の別の幹部は「交渉力よりも、松岡氏が期待されたのは農林族議員としての存在感だった」と語る。政治とカネをめぐる問題が国会で追及されても、安倍首相が松岡氏を守ったのは、「WTO交渉が日本に不利な条件で妥結した場合、反発する農協を抑えられるのは、松岡氏のほかにいないからだ」と説明する。

 WTOの農業交渉では4月末、日本に厳しい内容の議長文書が公表された。国内農業保護のため高関税をかける重要品目の数について、議長文書は全品目の5%以下に抑えるよう明記した。日本は最低でも10%を要求してきただけに、国内農家の危機感は強い。

 このまま合意すれば、重要品目の関税率の大幅削減や撤廃を受け入れざるを得なくなるとみられ、同省では「参院選を控え、松岡氏でなければ安倍政権がもたない」との声も漏れていた。

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