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中華機炎上 タンク突き破るとは 調査の死角「驚いた」

2007年08月24日07時14分

 燃料は心臓部から漏れていた。中華航空機の炎上事故の調査が23日、急展開した。燃料タンクにボルトが突き刺さるという予期せぬトラブルに、国内航空会社の関係者たちは驚きを隠さず、同日夜からあわただしく点検を始めた。製造した米ボーイング社は沈黙を守った。

 「最初見たときは驚いた。ボルトが燃料タンクに刺さるなんてこともあるのかと思った」。調査に立ち会った関係者は、感想を漏らした。炎天のもと、関係者らが右翼下に集まり、順々に脚立を使って翼下の「点検口」から顔をつっこみ、タンクの内側にボルトが突き出ていることが確認された瞬間だった。

 調査が急転したのは、23日午前10時半ごろだった。航空・鉄道事故調査委員会の台木一成(かずしげ)首席調査官に、米国チームと沖縄県警から「原因になりうる破れが燃料タンク内に見つかった」と報告があった。

 点検口は事故後に残っていた燃料を抜き取るため、事故当日から開けていた。にもかかわらず発見が難航していた。台木首席調査官は「焼けていない部分であり、調査の中心ではなかった。暗くて狭いうえ、ほかの部品にも邪魔され、非常にのぞきにくい場所だった」と話す。

 調査委は事故が発生した20日夕から現地調査を続けたが、燃料漏れの元となる亀裂などは見つからなかった。右主翼とエンジンをつなぐ「パイロン」と呼ばれる部位内の配管に注目し、「ここを開けばすべてわかる」と期待。パイロンを覆う金属板を解体する準備もしていたところでの急転直下だった。

 「やっと燃料漏れのルートが見つかった」。台木首席調査官は那覇空港での記者会見でホッとした表情をみせた。

 今後の焦点は、なぜボルトがはずれたのかに移る。内視鏡を使ってボルトがはずれたとされる駆動装置周辺の撮影を試みたが、依然、詳細ははっきりしない。解体するなど、詳しく調べる方法を模索するという。

■点検追われる航空各社

 事故機と同じ737―800型を5機保有する日本航空は23日夜、2機の緊急点検に着手した。

 羽田空港の整備場では、山口宇部空港から戻った機体に午後10時45分過ぎ、整備士ら4人が取り付いて作業を始めた。スラットを最もせり出した状態にして翼の下にあるパネルを外して内部を点検。片方の翼に2時間弱かかる作業だった。

 残る同型機3機については炎上事故直後の点検で問題がないことを既に確認済みだという。

 同社は22日から23日にかけ、主翼にエンジンをつり下げるパイロン部分の緊急点検を済ませたばかり。「当初はパイロンが注目されていたので自主点検した。スラット収納部は予想外の場所だった」(広報部)

 同型機5機を運航しているスカイマーク社は23日夜、5機のナットが緩んでいないか、スラットを取り外して点検。経営企画室の担当者は、中華航空機でボルトが燃料タンクを突き破っていたことについて「驚いたが、機体の構造自体に問題があるわけではないと思う」と話した。

 「機体は点検されたんですか」「乗っても大丈夫ですか」――。こんな電話が中華航空機の事故後、利用客から多くかかってきたという。担当者は「同機種が炎上する映像は、我々にも衝撃的だった。一つひとつ不安を取り除くしかない」。

 全日空グループのエアーニッポンは、ボーイング社から、737型機のスラットからの燃料漏れについて、昨年3月28日付で連絡を受けたが、特に対応は取らなかった。連絡の文面が緊急性の低い内容だったため、該当個所の点検などには至らないと判断したという。

 全日空は23日夜、同型機13機すべての点検を開始。24日朝までには点検を終える予定。

 ボルトが燃料タンクに突き刺さっていたことについて、米ボーイング社の広報担当者(香港在勤)は23日夜、朝日新聞社の取材に「現在、調査委の調査が続いているので、コメントできない。我々は、調査に全面的に協力するだけで、調査が終わるまでは何も言えない」とだけ話した。

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