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安倍首相、辞任表明 麻生幹事長ら与党幹部に意向伝える

2007年09月12日14時45分

 安倍首相は12日午前、辞任の意向を固め、自民党の麻生太郎幹事長ら複数の自民党幹部に伝えた。午後2時から首相官邸で記者会見し、11月1日に期限が切れるテロ対策特別措置法に基づく海上自衛隊のインド洋での給油活動の延長に向け、民主党の小沢一郎代表に呼びかけた党首会談を断られたことを受け、「今の状況で、国民の支持、信頼の上に力強く政策を進めていくのは困難」と辞任の理由を説明した。昨年9月の就任以来、「政治とカネ」を巡る問題や失言で閣僚の辞任が相次ぎ、今年7月の参院選では自民党が惨敗し、参院で与野党が逆転した。8月末に内閣改造を行ったが、その後も閣僚が辞任するなど、政権運営が完全に行き詰まっていた。首相の退陣を受け、自民党は後継を選ぶ総裁選を実施する。

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首相官邸に入る安倍首相=12日午前9時50分、東京・永田町で

 首相は会見で「国民の支持、信頼のうえに、力強く政策を遂行することができなくなった」とも語った。首相は臨時国会が召集された10日、所信表明演説で、参院選敗北の「反省」を口にしながらも、「改革を進めるため」として続投の決意を示したばかり。会見の中で首相は、この時期に辞意表明した理由について、「(18日に始まる)国連総会にも新しい首相が出た方がいい」と説明したが、代表質問当日に辞意を表明するという極めて異例の退陣の仕方に、首相としての資質に対する疑問を最後まで国民に与えることになった。

 首相は12日午後1時から衆院本会議で開かれる代表質問に出席する予定だったが、同日午前、自民党幹部に「私は辞任するので、代表質問に答えるわけにはいかない」などと伝えた。

 これを受けて自民党国会対策委員会の幹部が野党側に本会議の延期を要請。延期の理由として、首相が辞意を漏らしていることを伝えたという。麻生幹事長は記者団に、首相の辞意について「聞いている」と答えた。

 首相は9日、訪問先のシドニーでの記者会見で、海上自衛隊の給油活動の継続について「国際的な公約となった以上、私には大きな責任がある。職を賭して取り組む」との強い決意を表明。活動が継続できない場合は「職責にしがみつくことはない」と述べ、退陣する意向を示していた。

 首相は参院第1党の民主党の協力を得るため、小沢代表に党首会談を呼びかけていたが、小沢氏は11日に拒否する考えを表明。政府・与党は給油・給水活動に限った新法の制定を目指すことにしたが、11月10日までの会期内での成立は難しく、活動を一時中断することは避けられない情勢だった。

 与党は、新法が参院で否決された場合などには会期を大幅に延長し、衆院で3分の2以上の賛成で再可決して成立させることも視野に入れていたが、その場合は民主党が参院で首相の問責決議案を提出する構えを見せるなど、国会運営は行き詰まっていた。

 首相は政権を取り巻く厳しい状況が続くなかで、これ以上政権を維持することはできないと判断し、臨時国会の実質的な論戦が始まる代表質問を前に退陣の判断を固めたと見られる。

 安倍氏は岸信介元首相の孫で衆院山口4区選出、当選5回。北朝鮮の拉致問題に対する厳しい姿勢で、国民的な支持を集め、小泉内閣のもとで党幹事長や内閣官房長官などを歴任した。

 昨年9月の総裁選で、麻生現幹事長、谷垣元財務相を大差で破り、小泉内閣の改革路線を引き継ぐ形で首相に就任した。「戦後レジームからの脱却」を掲げ、通常国会で、「愛国心」条項を新設した改正教育基本法、防衛庁の省昇格法、憲法改正の手続き法である国民投票法などを成立させた。

 しかし、首相就任後、初めての本格的な国民の審判となった今年7月の参院選で、年金問題や閣僚の相次ぐ失言や不祥事などによる逆風を受けて惨敗。参院で与野党の勢力が逆転し、民主党が第1党となった。

 しかし、「国民の厳しい審判を真摯(しんし)に受け止め、反省すべきは反省しながら、そして謙虚に、改革、国づくりに向かって責任を果たしていく」と続投を表明。8月27日に内閣改造を実施したが、わずか8日間で遠藤農水相が政治とカネの問題を巡って辞任に追い込まれるなど、政権の求心力を失っていた。

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