現在位置:asahi.com>ニュース特集>角界暴行問題> 記事 前時津風親方らを傷害致死容疑で逮捕 力士急死事件2008年02月07日22時17分 大相撲・時津風部屋の序ノ口力士斉藤俊(たかし)さん(当時17)=しこ名・時太山=が名古屋場所前の昨年6月、愛知県犬山市でけいこ後に急死した事件で、愛知県警は7日、斉藤さんに暴行を加えた前時津風親方の山本順一容疑者(57)=元小結双津竜、東京都台東区柳橋1丁目=と兄弟子3人を傷害致死容疑で逮捕した。前親方はビール瓶で殴ったことを認めたが、「部屋から逃げたことを怒ってやったわけではない」と制裁目的を否認しているという。
逮捕された兄弟子3人は、いずれも東京都墨田区両国3丁目、木村正和(24)=しこ名・明義豊(あきゆたか)=▽伊塚雄一郎(25)=同・怒濤(どとう)=▽藤居正憲(22)=同・時王丸=の各容疑者。木村容疑者は実行行為は認めた上で、「制裁ではなく、しつけのつもりだった」と犯意を否認。ほかの2容疑者は大筋で容疑を認めているという。 捜査1課と犬山署の調べでは、前親方と兄弟子3人は共謀し、昨年6月25日午後0時40分から翌26日午前11時半ごろ、斉藤さんが部屋を抜け出したことへの制裁として、犬山市の宿舎などで、金属バットや木の棒で斉藤さんの体中を殴ったり、鉄砲柱に縄で縛り付けたりしたほか、「ぶつかりげいこ」の名目で30分にわたって土俵上に投げ倒すなどし、死亡させた疑い。木村、伊塚両容疑者は両日とも暴行し、藤居容疑者は25日のみ暴行に加わったという。 名古屋大が実施した死因に関する再鑑定で、2日間にわたる激しい暴行で外傷性ショックが起き、血液中のカリウムが致死的なほど高濃度になり、肺水腫も併発して死に至ったと結論づけられたという。 県警は、(1)前親方は25日に「お前らも教えてやれ」「鉄砲柱に縛り付けろ」などと言った(2)26日も「けいこ」の相手や開始と終了の時期を指示するなど、一連の暴行のきっかけを作ったことに加え、25日にビール瓶で斉藤さんの額を殴り、26日のけいこでは木の棒で尻を打って実行行為に加担したことから共謀が成立すると判断した。 調べに対し、兄弟子の一部は前親方の言葉を制裁の指示と受け取ったと認めているという。 発生直後、前親方と兄弟子は事情聴取に「通常のけいこ中に突然倒れた」と説明していたため、犬山署は司法解剖をしなかった。遺族が希望して実施した行政解剖で外傷性ショック死の疑いが強いと判明して捜査が始まり、長期化した。 前親方は26日の暴行を「通常のぶつかりげいこだった」と供述しているが、県警は、通常5分程度で息の上がる激しいけいこを体のできていない新弟子に30分も続けたことなどから、けいこではなく制裁だと断定した。 暴行にはほかに4人前後の兄弟子が加わったとされるが、関与が薄いことから、県警は任意での捜査を継続する方針。 ■北の湖理事長「司法判断の推移見守る」 日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱)は7日夜、東京・国技館で協会幹部4人とともに記者会見し、「相撲の長い歴史の中で逮捕者が出たことは誠に遺憾で残念でならない」と話した。逮捕された兄弟子3人の処分は現段階ではせず、「司法判断の推移を見守り、必要な対応をしたい。状況が分かり次第、きちっとした形でやらないといけない」とした。 会見は約10分間。現役力士の逮捕は極めて異例だが、理事長は「他の力士も心配すると思うが、土俵中心に考えると確信している」と述べた。 ◇ 〈時津風部屋事件〉 07年6月26日、愛知県犬山市の時津風部屋で、同年入門した序ノ口力士、斉藤俊さん(当時17)=しこ名・時太山=がけいこ中に倒れ死亡した。当初、同県警犬山署は病死と判断したが、遺体に多数の傷があることを遺族が不審に思い、行政解剖を依頼。新潟大医学部により、死因が「多発外傷による外傷性ショック」である可能性が指摘され、事件性があるとして捜査が始まった。名古屋大が実施した再鑑定でも死因は「多発外傷による外傷性ショック」との結論が出て、愛知県警が前親方らへの強制捜査に踏み切った。 PR情報 |