大相撲・時津風部屋の力士急死事件で、前時津風親方の山本順一容疑者(57)=傷害致死容疑で逮捕=が、斉藤俊(たかし)さん(当時17)が死亡する前日の昨年6月25日夜、正座を続けられない斉藤さんを「根性がない」となじって兄弟子に暴行させていたことがわかった。この暴行が続いた後、前親方がビール瓶で斉藤さんの額を殴って本格的な暴行にエスカレートしていった。
愛知県警は、前親方が部屋を脱走した斉藤さんに不満を募らせ、死亡前夜から執拗(しつよう)な暴行を繰り返させたとみて詳しい経緯を調べている。
調べや部屋関係者の話では、前親方は昨年6月25日午後6時半ごろ、部屋付きの力士が食事のために顔をそろえた大広間で、斉藤さんを近くに正座させた。斉藤さんは同日昼に部屋から脱走、前親方は生活態度をしかっていたという。
前親方は斉藤さんが正座に耐えられない様子を見ると「お前は根性がない」と叱責(しっせき)。その後、斉藤さんが足を崩すたびに、兄弟子の伊塚雄一郎(25)と木村正和(24)の両容疑者=同=が殴るけるの暴行を加えたという。その暴行の様子を、前親方は黙って見ていたという。
暴行が断続的に繰り返された後の同日午後8時半ごろ、酔いが回ってきた前親方はビール瓶の底で斉藤さんの額を続けざまに4、5回殴打しはじめた。最後の1発が額を強打して出血した。
前親方は伊塚容疑者らに「お前らも教えてやれ」などと指示。藤居正憲容疑者(22)=同=が「根性を入れ直します」と言って、3人で宿舎裏のけいこ場に連れだし、鉄砲柱に縛り付けて平手打ちを繰り返すなどの激しい暴行が始まった。木の棒も持ち出され、打ち据えられた斉藤さんのうめき声は大広間まで聞こえたが、前親方は黙認したという。
県警は、ぶつかりげいこの名目で翌26日に加えられた制裁もあわせ、一連の打撃が積み重なって外傷性ショック死に至ったとみている。