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前親方、「けいこ場に連れてこい」 死の直前に強要

2008年02月11日03時10分

 大相撲・時津風部屋の力士急死事件で、前時津風親方の山本順一容疑者(57)=傷害致死容疑で逮捕=が、前夜の暴行で起床できない斉藤俊(たかし)さん(当時17、しこ名・時太山(ときたいざん))を「けいこ場に連れてこい」と兄弟子に指示していたことが愛知県警特別捜査本部の調べでわかった。特捜本部は、前親方による無理なけいこが死の決め手になった可能性が高いとみている。

 また、斉藤さんは死亡した昨年6月26日の「ぶつかりげいこ」中に、度重なる暴行による外傷が原因で重い呼吸困難に陥っていたことも判明した。

 調べによると、斉藤さんの肺はうっ血して極度に重くなっていたことが、新潟大と名古屋大の鑑定で判明したという。肺水腫と呼ばれる症状で、酸素の取り込みや二酸化炭素の排出といった肺の機能が損なわれ、呼吸困難を引き起こす。呼吸ができなくなると心臓に強い負担がかかるとされる。

 斉藤さんは前夜の前親方や兄弟子らによる暴行で血液中のカリウム濃度が高まり、26日には既に心臓の機能が弱っていたとみられる。

 けいこ場では同日午前7時から土俵祭りが始まっていたが、斉藤さんは起きてこなかったという。前親方は兄弟子に「時太山にまわしをしめさせて、けいこ場に連れてこい」と指示。斉藤さんは同7時半ごろ現れ、四股を踏むなどした。

 さらに前親方は同11時ごろ、兄弟子の木村正和容疑者(24)=しこ名・明義豊(あきゆたか)、同容疑で逮捕=に斉藤さんとの「ぶつかりげいこ」を始めさせ、約30分後に倒れるまで続けさせたという。

 肺水腫には様々な原因があるが、暴行による多発外傷で起きたことが鑑定で確認された。前親方は調べに「ぶつかりげいこで次第に時太山の呼吸がゼイゼイと荒くなり、返事をしなくなったので救急車を呼んだ」と話しており、鑑定結果と一致しているという。

 特捜本部は、血中の高カリウムで衰弱していたところへ呼吸困難が加わり、斉藤さんの心臓が止まって死に至ったとみている。

 「ぶつかりげいこ」を巡っては、逮捕された兄弟子3人が「これまでの経験に比べて非常に長いと思った」と供述。前親方は「通常のけいこだった」と否認、死亡前夜に斉藤さんを鉄砲柱に縛って暴行したことも「私はまったく知らない。指示もしていない」とし、供述が食い違っている。

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