大相撲・時津風部屋の序ノ口力士斉藤俊(たかし)さん(当時17)=しこ名・時太山(ときたいざん)=が暴行を受けて死亡した事件で、名古屋地検は29日、前親方の山本順一容疑者(58)=元小結双津竜、東京都台東区柳橋1丁目=と兄弟子3人を傷害致死罪で名古屋地裁に起訴した。前親方は同日、保釈を申請した。
ほかに起訴されたのは、いずれも東京都墨田区両国3丁目、木村正和(24)=しこ名・明義豊(あきゆたか)=▽伊塚雄一郎(25)=同・怒濤(どとう)=▽藤居正憲(22)=同・時王丸=の各容疑者。
起訴状によると、4人は書類送検された別の兄弟子と共謀し、昨年6月25日夜、宿舎で前親方が斉藤さんの額をビール瓶で殴ったことを皮切りに、けいこ場の柱に縛り付けて全身を殴り、翌26日午前、ぶつかりげいこの名目で斉藤さんを土俵にたたきつけ、金属バットで殴るなどし、死亡させたとされる。
この事件をめぐっては、山本容疑者と、起訴された兄弟子3人の供述が対立している。前親方は「あくまでもけいこの範囲だった」と否認しており、公判ではどこまでが「けいこ」にあたるかの線引きを巡る争いが続きそうだ。
愛知県警の特別捜査本部は、死亡前日の25日夜、前親方が愛知県犬山市の宿舎で斉藤さんをビール瓶で殴ったことが、一連の暴行の口火になったとみている。額から出血し、前親方が「お前らも教えてやれ」「鉄砲柱に縛り付けろ」と指示したことで暴行がエスカレートしたとされる。
前親方は逮捕当初、25日夜の暴行について「教えてやれと言ったのは相撲道のこと。暴行は知らなかった」「縛り付けろとは言っていない」と否認していた。
ところが、斉藤さんの顔や体が傷で腫れていたのを知らないのは不自然だと追及されると、「暴行の認識はあった」と供述を変え、縛れと指示したことも認めた。しかし、「部屋から逃げないようにしろという意味だった」と話し、制裁目的は否定しているという。
一方、起訴された兄弟子3人は25日の「教えてやれ」という指示を「殴れという意味に取った」と供述。26日も「30分ものぶつかりは長すぎると思った。いま振り返れば『罰』かもしれず、斉藤さんに申し訳ない」と話しているという。