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「外部の目」に重い腰〈力士暴行死再検証 下〉

2008年7月12日10時28分

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写真名古屋場所を前に横綱、大関らとともに熱田神宮を参拝した北の湖理事長(中央)。=5日、名古屋市熱田区、松谷常弘撮影

 6月。文部科学省の松浪健四郎副大臣は日本スポーツマネジメント学会の「大相撲の持続的な発展を考える」と題したセミナーに出席した。暴行死事件の発覚以降、所管官庁として日本相撲協会に外部の有識者の登用を求めている副大臣は、集まった報道陣に強い口調で話した。

 「議決権のある理事でないと意味がない。人数や人選は協会に任せたが、対応が遅い。年内には結論が欲しいが、まさに『牛歩のごとし』だ」

 協会は5月に、理事会に外部役員を入れることは決めた。作家の堺屋太一氏、塩川正十郎元財務相ら、協会の委嘱機関である運営審議会の委員から選ぶ案が有力。数も複数で進んでいるが「できれば監事か役員待遇。理事にはしたくない」意向が強く、結論が出せない。

 「指摘は分かるが、相撲界はこれまでこの体制できちんと運営してきた。いきなり外からの人を理事にするのは、ちょっと……」

 「門外漢が来て『あれやれ、これやれ』と言われてもついていけない。もし理事に選ぶとしても、かなり相撲通でないとね」

 いくら批判を受けても、協会が外部理事の起用に踏み切れないのにはわけがある。

 現在10人いる理事は1期2年。108人の親方に現役力士と行司の代表を加えた評議員会で互選されるが、実質は五つの一門ごとの利益代表として候補の親方を選ぶ。ここ3期連続で無投票が続く。

 評議員会はたいてい理事会からの報告のみで終わる。ほぼ全権を握る10人の理事は現役時代からの長い付き合いで、理事会は開く前に根回しが済んでいることも多い。「閉鎖社会」の象徴的な存在だ。

 北の湖理事長自身も暴力には絶対反対の姿勢だ。以前から「たたいて強くなるなら、いくらでもたたく。だが、そんなことはない」が信念。竹刀も使ったことはないという。それでも「嵐が過ぎるのを待つ」勢力を説き伏せる指導力は発揮できず、文科省の要望に応じられないでいる。

 目上の先輩にものが言いにくい番付社会。若手の親方たちからは声高ではないが、不満が漏れる。「もっとしっかり、やっていることの説明をして欲しい。外部の理事もいれないと一般に理解してもらえないだろう。このままではいつまでも先に進めない」

 熱心な指導に定評のある師匠の一人が言った。「昔は横綱の北勝海(現八角親方)でも、ボロボロになるまでぶつかりをやった。最近はただでさえ、けいこ量が落ちているのに、あの事件からますます量が減った気がする」

 前代未聞の不祥事から1年。だが、その余波は依然、土俵の内外に残っている。(この連載は竹園隆浩、前沢智が担当しました)

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