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〈新・新弟子事情 時津風事件の影(下)〉勉強・引退…誰が世話?

2008年3月7日11時32分

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 前時津風親方の山本順一被告(58)と部屋の兄弟子3人が斉藤俊(たかし)さんへの傷害致死容疑で逮捕間近、の情報が流れていた先場所中のことだ。

 日本相撲協会を所管する文部科学省の松浪健四郎副大臣が、朝日新聞の取材に答えた。

 「相撲協会は力士が引退した後のことも考える必要がある。ちゃんこ屋だけでなく、柔道整復師の資格をとらせるとか、学費を援助するとか。30歳を過ぎて路頭に迷わせるようなことでは、魅力ある世界にならない」

 昨秋の事件発覚後、角界は新弟子勧誘の難しさに拍車がかかった。少子化に加え、まわし姿が恥ずかしいというご時世。事件がなくても、窓口を広げる手だては必要な時期にきていた。

 元関脇富士桜の中村部屋が、興味深い試みを実施中だ。03年から、山梨県甲斐市に本校がある日本航空高校の通信制に、力士を入学させている。

 中学出の早い時期から入門しやすい環境を整えたい、という親方の意向が発端。中学出は3年間、東京の中村部屋にあるパソコンからリポートなどを送る。この4月には4期生となる5人が、「高卒」の資格をとって部屋だけの特別卒業式をする。そして新たに新弟子4人が入学する。

 「本人や親が『どうしても高校へ』と言って入門を断られたことが何度かあった。それを何とか、と思って始めた。この資格は力士を辞めてもいい、ということではない。土俵に集中するためのもの。今は会いに行くときは、必ずパンフレットを持っていく」

 神戸市出身の秋田龍義(15)も当初は高校進学希望だった。だが、相撲をしながら高校生になれると聞き、心が動いた。事件の報道が続いた昨年九州場所中に1週間、部屋に泊まり込み体験をした。それで不安は消えたという。「お母さんも最初は心配していたけど、最後は『入門しなさい』って言ってくれた」

 中村親方は「子どもたちには『迷ったら入門は辞めろ』と言う。中途半端な気持ちだと最初から続かない」と話した。

 相撲協会は通信教育でNHK学園高校と提携しているが、利用実態ははかばかしくはない。春は「就職場所」と言われるのに、今場所は53部屋のうち新弟子がいないのは時津風部屋を含め29と、半数を超える。各師匠の能力や発想を組織として取り入れる時代へ。時津風事件は、角界の行く末に警鐘を鳴らしている。

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