部屋の視察に訪れた松浪健四郎・文科副大臣(右端)と再発防止検討委員会のメンバー。左手前は北の湖理事長=林敏行撮影
時津風部屋の力士急死事件を受けて日本相撲協会が昨年10月につくった再発防止検討委員会。事件の背景を探るため、委員が手分けして行っていた全53部屋の視察が14日、終わった。視察を名乗っているものの、実際は親方からの聞き取りが中心。この結果をもとに近く提言をまとめるというが、再発を防ぐ決め手はつかめているのだろうか。
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視察の締めくくりとなったのは、理事長が師匠を務める北の湖部屋だ。
委員長の伊勢ノ海理事、外部委員の塔尾武夫氏ら4人に加え、特別に文部科学省の松浪健四郎副大臣も同席した。
委員らは北の湖理事長(元横綱)に生活指導について確かめたが、そのやりとりはこんな具合だった。
「新弟子が逃げ出したことは?」
「1回目は説得したが、2回目はそのまま帰しました」
「兄弟子が無理に酒を飲ませることは?」
「未成年には飲ませないように指導しています」
体罰につながる道具は使わず、若手には体力に合わせたけいこをさせる――。そんな方針説明に問題はないと判断し、約30分で終わった。
■楽観的空気漂う
視察を始めたのは昨年12月。事前に各部屋の親方に指導方針や生活指導についてアンケートし、その回答について視察でくわしく聞く形をとった。
当初はけいこも見た。本来たたむべきまわしがけいこ場に丸めて放っておかれていたり、兄弟子がペットボトルで水を飲むので弟弟子が水をつける所作を省いていたりと、しきたりが崩れている点も見受けられた。
だが、次第に親方やおかみさんとの面談が主になった。
「もっとけいこを見たかった」と外部委員のやくみつる氏は残念がる。「事件が過ぎ去り、楽観的な空気になっている。事件はささいな緩みから始まる。相撲界は、今も大問題に直面していることを忘れてはいないだろうか」と警鐘を鳴らす。
■「特異なケース」
一方、伊勢ノ海理事は「視察のたびに時津風部屋の特異性を感じた」と言う。「各部屋の師匠は事件を重く受け止め、二度とあってはならないと認識している。あの事件がなぜ起こったのか、よくわからない。想定外の事件だ」
塔尾氏も「ほとんどの部屋では若手力士の体力に合わせた指導をしており、時津風部屋のような事件は起こらないだろう」と話す。
委員会は21日に会合を開き、視察結果をもとに話し合う。再発防止策をまとめたら相撲協会を所管する文科省に報告してお役ご免となる。
若手力士が命を失って1年足らず、委員会発足からわずか6カ月の幕引き。伊勢ノ海理事は「今後も外部の意見を拝聴したい」として、委員会は同じ顔ぶれのまま名称を変えて残し、角界の問題を話し合う場にしたいとしている。(渡部耕平)